2021 Fiscal Year Research-status Report
誤嚥防止に向けた『舌筋ー腱ー喉頭蓋軟骨』複合体の機能・構造解析
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21K17049
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
北村 啓 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (90792367)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 摂食嚥下 / 機能解剖学 / 舌筋 / 舌骨 / 腱 / 靱帯 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年の超高齢化に伴い、加齢による身体機能の低下が誤嚥を惹起する原因として大きな問題となっている。中でも、喉頭蓋の運動機能低下は一連の嚥下動作に不調和を生じさせ、誤嚥のリスクを高めるため、周囲組織と連動した喉頭蓋の機能的な構造解析が病態解明のために急務である。申請者は献体を対象とした研究から、正中舌喉頭蓋ヒダの粘膜下に存在する太い腱が舌深部を縦走する舌筋と喉頭蓋軟骨をつないでいることを発見した。さらに、この舌筋-腱-喉頭蓋軟骨という複合体は①安静時の喉頭蓋前方牽引機能 ②嚥下反射時の喉頭蓋の後屈補助を行う機能的な運動器であると仮説を立てた。そこで、本申請課題の目的は、正中舌喉頭蓋ヒダの粘膜下に存在する舌筋-腱-喉頭蓋軟骨の構造特性を明らかにし、それに裏付けされた舌喉頭蓋ヒダの機能を解明することである。本年度は過去に採取した献体を用いて肉眼解剖・組織学的な解析を進めた。その結果、舌筋の中でもオトガイ舌筋の後方部が舌骨の上部で腱に置換され、喉頭蓋軟骨の舌面に付着していることが明らかとなり、我々はこの腱をglossoepiglottic tendonと名付けた。また、glossoepiglottic tendonと舌骨の間には組織を含まない間隙が存在していた。この間隙は舌と舌骨が独立して喉頭蓋に運動をさせることのできる構造である。そのため、『嚥下時は舌骨が前方に移動しオトガイ舌筋が弛緩することにより舌が後退して喉頭蓋の反転がおこり、安静時は舌骨が弛緩し、オトガイ舌筋が緊張することにより喉頭蓋が前方に牽引されて自立する。』という一連の仮説を支持する発見となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は献体の採取を満足に行えなかった。そのため透明化によるホールマウントでの観察や、免疫組織化学染色を行えなかった。これらの実験は次年度に改めて献体からの採取を行い、遂行する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、前年度行えなかった実験のために新たに献体の採取を行う。そして、本年度は患者を対象とした研究を行う予定であるが、未だ続くコロナ禍でこの実験を行うことが困難であると考えられる。その場合は、来年度行う予定であった実験動物を使用して嚥下機能の観察を行う。
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Causes of Carryover |
本年度はコロナ禍という社会情勢の中で、充分に献体からの試料採取を行えなかった。そのため、次年度は試料採取を行い、本年度行う予定だったホールマウントの透明化と免疫組織化学的染色を行う予定でる。
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Research Products
(3 results)