2021 Fiscal Year Research-status Report
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21K17055
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
乾 志帆子 大阪歯科大学, 歯学部, 助教 (90807695)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | TNT / アメロジェニン / 骨補填材 |
Outline of Annual Research Achievements |
顎骨欠損の再建には、患者自身の自家骨と金属プレートを用いて再建手術を行うのが一般的であるが採取できる骨量の限界、採取部位の二次的損傷や感染のリスクが問題となる。この問題を解決するためには、ハイドロキシアパタイトなどの人工骨使用が検討されるが、強度不足や術後感染なども問題視される。近年、様々なナノ粒子がドラッグシステムなどに応用される研究が盛んに行われており、申請者らも主要なインプラント材料の一つである純チタン金属に低温化学合成法により合成される酸化チタンナノチューブ(TNT)を利用した研究を推進してきた。そこで、本申請研究では、TNTにインプラント埋入周囲組織の歯周組織の再生方法としてエムドゲインの主要タンパク質の一つであるアメロジェニンをドープすることで、インプラント埋入周囲組織の硬組織分化誘導および上皮の緊密性確保を進め、新規骨補填材の開発を目指す。細胞培養実験の結果より,骨芽細胞への分化を決定づける因子であるRunx2 mRNAの遺伝子発現はTNT含有群で未含有群と比較して高い値を示した。後期の石灰化および石灰化調節因子に関係する遺伝子であるOCN mRNAの遺伝子発現はTNT含有群で未含有群と比較して有意に高い値を示した。培養後14、21日後のALP活性および21,28日後のカルシウムの析出量はTNT含有群で未含有群と比較して有意に高い値を示した. また,すべての評価でTNTの濃度依存的に硬組織分化誘導に関するマーカーは増加したが,一定濃度を境に減少した. TNT(1ppm)刺激時に最も高い誘導能を示した.本実験の結果は,TNT(1ppm)が骨芽細胞分化に有利に働き,骨形成誘導能を有することが明らかとなり,生体材料として応用展開が可能であることが示唆された。今後はin vivo評価を続けていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TNT(1ppm)が骨芽細胞分化に有利に働き,骨形成誘導能を有することが明らかとなり,生体材料として応用展開が可能であることが示唆された。骨補填材としての応用のため、同志社大学および京都工芸繊維大学の協力のもと、TNTゲルの作成に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
TNTは低温化学合成法により作製する。10Mの水酸化ナトリウム水溶液800mlを作製し、そこにTiO2粉末を2g加える。そのボトルをオイルバスに入れ115℃に維持したまま、24時間攪拌還流し、得られたスラリーに超純水を加え、粉末を洗浄、塩酸を加えることで、TNT粉末を作製する。TNT粉末を各種濃度のアメロジェニン水溶液に浸漬させたもの、TNT粉末、酸化チタン粉末を実験試料として用意する。表面解析は各種材料をSEM, SPM, XPS, XRD, FTIRにて解析を行い、アパタイト析出の適正条件を導き出す。大阪大学および大阪市産業技術研究所にて解析を行い、ミーティングにて検討する。生後8週齢のSD系雄性ラットの大腿骨骨髄から単離した骨髄細胞を24 wellプレートに播種・培養し,各種実験試料をそれぞれ添加し各種評価を行う.評価項目は各種細胞の初期接着,ALP活性,オステオカルシン量,カルシウム量ならびに遺伝子解析とする。
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Causes of Carryover |
TNTゲル作製にかかる諸費用が次年度にまたがったため。
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