2023 Fiscal Year Research-status Report
マルチマテリアル造形による三次元物性カスタム化技術の確立と歯科補綴装置への応用
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21K17058
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
加嶋 祐佳 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 日本学術振興会特別研究員 (70778977)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 積層造形法 / インクジェットプリンター |
Outline of Annual Research Achievements |
インクジェット3Dプリンターによるマルチマテリアル積層造形技術を総義歯製作に応用し、複数材料の同時造形や物性の段階的調整に適したパラメーター条件を解明するとともに、デジタル技術を基盤とした顎義歯製作の新たなワークフローを創出し、顎義歯製作過程の簡便化および高精度・高機能化を目指し、本年度はマルチマテリアル造形に用いる粉末材料の吸水性や異種材料間の破断強度の評価を行った。粉末材料には、生体親和性があり、口腔内での安全性が確認されている粉末を数種類配合し、歯肉部や歯冠部に合わせて色調や硬度を変化させた。歯肉部と歯冠部の異種材料間の破断強度は、サーマルサイクル前は既存手法と比較して有意に低かったものの、サーマルサイクル後では、既存手法と比較して有意に高くなった。そのため、既存手法と比較してサーマルサイクル後も性質の低下が起きにくいことが分かった。しかしながら吸水性は既存手法と比較して有意に劣ることが分かり、課題点が見つかった。また、曲げ試験の結果も、既存手法と比較して強度が低く、マルチマテリアル造形に用いる粉末を歯科の需要に特化された改良が必要であることを認識した。そこで、日本では未承認・未販売であるもののアメリカで歯科補綴装置製作用に承認を受けた新規粉末材料TruDentに着目した。本年度は人工歯部と歯肉部を2つに分割したSTLファイルを製作し、実際の全部総義歯を製作することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はアメリカ国内のみ承認を受けた新規粉末材料を使用するため、Stratasys社との交渉が進み、既存の粉末材料の欠点を補える可能性が大きく進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、新規粉末材料TrueDentを用いコピーデンチャーを製作し、造形真度や適合精度の評価をしていく予定である。また、吸水性や異種材料間の接着強度等基礎的物性の評価も行う予定である。
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Causes of Carryover |
産休育休を取得し、学会への参加や実験計画の遅れが生じたため。
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