2021 Fiscal Year Research-status Report
Relationship between "food-related quality of life" and oral frail in hospitalized and institutionalized elderly
Project/Area Number |
21K17059
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
鈴木 啓之 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 特任助教 (80801539)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 食のQOL / オーラルフレイル / 口腔環境 / 入院高齢者 / 施設入所高齢者 |
Outline of Annual Research Achievements |
生涯にわたり活き活きとした生活を送るためには,いかに「おいしく」かつ「楽しく」食事ができる状態を維持・確立していくかが,重要であり,「おいしく」かつ「楽しく」食事を行うためには,口腔環境や機能が良好に保たれていることが不可欠である.本研究は,急性期病院入院高齢者および施設入所要介護高齢者を対象とし,口腔環境・機能および食に関わるQOLを横断的に調査することで,入院・入所高齢者の口腔環境・機能,栄養状態,食に関わるQOLの実態を明らかするとともに,食に関わるQOLに関連する口腔因子を明らかにすることを目的としている. 参加者は,急性期病院NST対象高齢者100名,老健施設入所要介護高齢者100名の合計200名とし,それぞれの対象者において以下のアウトカムを横断的に調査する.本研究においては,食に関わるQOLの指標としてSubjective Diet-related Quality of Life (SDQOL)およびSimplified Nutrition Appetite Questionnaire for the Japanese elderly (SNAQ-JE),口腔環境・機能の指標としてOHAT,FOIS, DSS, 口腔の健康状態(オーラルフレイルセルフチェック),咀嚼能力,最大咬合力,オーラルディアドコキネシス,舌圧,栄養状態の指標として,体組成評価,MNA-SFのそれぞれをアウトカムとして研究参加者より聴取する. 2021年度は, 急性期病院NST対象となった入院患者のうち,48名を対象にOHATに基づく口腔環境評価と,FOISに基づく栄養摂取方法の評価を実施した.その結果,急性期病院NST対象入院患者においては,口腔環境が悪化している傾向にあり,経静脈栄養と経腸栄養を含む経管が主たる栄養摂取方法となっている患者が多くいることを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度は,本研究を実施するにあたり,入院・入院患者の口腔環境および栄養摂取方法の実態を明らかにすることを目的とした予備的な調査として,急性期病院NST対象となった入院患者48名を対象とした,横断的な調査を行った.その結果,対象者のOHATの総合スコアは平均値3.4±2.3,中央値3と口腔環境は悪化している傾向にあり.特に舌や口腔清掃状態に問題を有する患者が多くいることが明らかとなった.また,対象者のFOISのスコアは平均2.9±2.1,中央値3であり,約30%は経管のみによる栄養摂取を実施されていることが明らかとなった.一方で,施設入所高齢者に対する調査は,COVID-19の感染拡大に伴い,当初調査を予定していた施設への立ち入りが制限されている状況から,調査の実施がまだ進められていない.また,2021年度に実施した調査は,口腔環境および栄養摂取方法の実態を調査することにとどまっており,対象者に対する咀嚼能力や舌圧などを始めとする口腔機能や,食に関連するQOLの調査についてはいまだ調査できていない.以上のことから考えると,現在までの達成度はやや遅れている状況であるといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,本研究の予定症例数である,入院高齢者100名,施設入所高齢者100名の参加者確保可能となるように,研究参加者リクルートを継続して実施していく予定である.当初入院患者においては,本研究のフィールドである病院が急性期病院である特性上,意識レベルが低下しており,口腔機能や質問票による調査が困難である患者が多くいると想定していた.しかしながら2021年度に実施した予備的な調査の結果,比較的意識レベルが維持されている患者も多く認められ,口腔機能の評価や質問票による調査を実施可能であると考えられる患者も多くいた.そのため,2022年度は,このような患者のリクルートを継続して実施することにより本研究の予定症例数を達成可能であると考えられる.一方で,施設入所高齢者に対する研究では,COVID-19のワクチン接種を進んでおり,流行状況も比較的落ち着いてきている状況を考えると,施設においても今後研究実施が可能となることが期待される.2022年度は研究を実施する施設の担当者と協議しながら,感染対策を徹底した上で,参加者リクルートおよびアウトカム調査を実施していくことを予定している.
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Causes of Carryover |
2021年度は,急性期病院NST対象入院患者の口腔環境および栄養摂取方法の実態を明らかにすることを目的とした横断的調査を実施したことにとどまり,施設入所高齢者に対する調査が実施できなかったこと,口腔機能に関する評価を実施していなかったため,機能評価を実施する際に必要な機器,消耗品の購入費用が予定よりも少なかったことが,次年度使用額が生じた原因である. 今後は,入院患者に対する調査を継続するとともに,施設入所高齢者に対する調査を実施していく事となる.次年度においては消耗品購入費用やデータ解析費用,旅費などとして適切に使用していく予定である.
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