2021 Fiscal Year Research-status Report
アルツハイマーモデルマウスを用いた咬合支持の欠如によるアミロイドβ沈着の変化
Project/Area Number |
21K17065
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
村上 明日香 岡山大学, 大学病院, 医員 (80885426)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | APPノックインマウス / Aβ |
Outline of Annual Research Achievements |
アミロイドβ(Aβ)沈着によるアミロイド班の形成・沈着がアルツハイマー型認知症(AD)の初期病変であると考えられている。動物実験では咬合支持の欠如と神経細胞脱落の関連が報告され,咬合支持の欠如が認知症発症の疫学的危険因子であると考えられているが,海馬におけるAβタンパク質濃度の変化やアミロイド斑の沈着については統一した見解が得られていない。 本研究は有用なADモデルとして新しく開発されたAPPノックインマウスを用いて抜歯により咬合支持を欠如させることにより、①抜歯により咬合支持が欠如することで認知機能が低下するのか、②咬合支持の欠如によりAβタンパク質濃度および沈着が増加するのか、③慢性ストレスによりAβタンパク質濃度および沈着への影響があるのか、以上①②③を検討し、咬合支持の欠如とADの原因と考えられているアミロイド斑沈着に関連があるのかどうかについて解明することを目的とした。 研究の結果、咬合支持の欠如により認知機能の低下は認められたが、Aβタンパク量およびアミロイド斑の沈着量に変化はなかった。このことから咬合支持の欠如による認知機能の低下はAβ沈着ではなく他の要因が中心である可能性が示唆された。 以上を論文にまとめ、Journal of Prosthodontic Research Vol. 66(2022)に掲載された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究は当初予定していた研究を概ね終了し、Journal of Prosthodontic Research Vol. 66(2022)に論文が掲載された。今後は追加実験として免疫組織染色等を行い、咬合支持の欠如による認知機能の低下を呈するメカニズムについて検討していく必要がある。他の経路としては咬合支持の欠如による認知機能の低下にノルアドレナリンが関与しているという仮説を立てているが、詳細な研究方法については今後検討を進めていく予定である
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究により咬合支持の欠如により認知機能が低下することが示されたが、そのメカニズムはAβによるものではない可能性が示唆された。そのため今後は他の経路について検討を進めていく必要があると考えられる。 現在、大脳皮質における神経変性により青斑核におけるノルアドレナリン作動性神経細胞数が減少するという研究が発表された。このことは大脳皮質の変性によりノルアドレナリン作動性神経変性が誘発されることを示唆しており、ノルアドレナリンが認知機能の低下に関与している可能性が示された。今後は大脳皮質の変性と青斑核におけるノルアドレナリン作動性神経変性との更なるメカニズムを免疫組織化学染色を用いて解明し、認知機能の低下を予防する方法について検討していく予定である。
|
Causes of Carryover |
今年度に購入予定として計上していた動物購入数が予想よりも少数となったため使用額を抑えることができた。しかし今後研究を進めていく上で動物の購入や免疫染色を行うために必要なキットや薬品などの消耗品の購入を予定している。
|
Research Products
(1 results)