2023 Fiscal Year Research-status Report
口腔領域の糖タンパク質をターゲットにした分子イメージング技術の確立
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21K17086
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
吉田 寿人 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 助教 (40791794)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 分子イメージング / 糖鎖 / 糖タンパク質 / 炎症 / 口腔癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度、口腔領域の炎症性疾患および口腔扁平上皮癌における硫酸化シアリルルイスX糖鎖陽性血管の発現に関する実験を行った。その結果、歯根嚢胞、顎骨骨髄炎、口腔扁平上皮癌において硫酸化シアリルルイスX糖鎖陽性血管の発現が確認できたが、口腔扁平上皮癌にも硫酸化シアリルルイスX糖鎖は発現していたため、口腔癌と炎症性疾患のより鑑別精度の高い糖鎖や糖タンパク質の探索が必要になると考えられた。 そこで今年度は、炎症性疾患では好中球が浸潤することに着目し、好中球の動員に関与する血管の免疫組織化学染色を行った。好中球は糖タンパク質の一つであるE-セレクチンを介して浸潤するとされるため、E-セレクチン陽性血管の発現に関して探索を行った。まず、歯根嚢胞と口腔扁平上皮癌の組織標本を用いてE-セレクチンに免疫組織化学染色を行った。その結果、歯根嚢胞においてはE-セレクチン陽性血管の発現が認められたが、口腔扁平上皮癌においてはE-セレクチンの発現はみられなかった。今後、E-セレクチンが顎骨骨髄炎や歯性上顎洞炎等の他の炎症性疾患でも発現しているかを探索し、E-セレクチンが口腔領域の炎症性疾患と口腔癌との鑑別のためのターゲットとなりうるか検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
歯根嚢胞以外の口腔領域の炎症性疾患(顎骨骨髄炎や歯性上顎洞炎等)における糖タンパク質の発現に関する実験を追加で行う必要があるため。
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Strategy for Future Research Activity |
口腔領域の炎症性疾患に特異的に発現している糖鎖の蛍光プローブを作製し、in vitro、in vivoで蛍光プローブの有用性を確認し、分子イメージングへの研究に展開していく。
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Causes of Carryover |
様々な口腔領域の疾患についてE-セレクチン発現に関する検討を行う必要がでてきたため、蛍光プローブ作製の実験を今年度行うことができなかった。次年度、蛍光プローブ作製のために助成金を使用する。また、今年度までに得られた成果を国際学術雑誌に投稿予定で、国際学会での発表および論文掲載費にも助成金を使用する。
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