2021 Fiscal Year Research-status Report
新規口腔がん関連長鎖非コードRNA DLEU1の病的意義の解明と臨床応用
Project/Area Number |
21K17094
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
西山 廣陽 札幌医科大学, 医学部, 助教 (60749563)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 口腔がん |
Outline of Annual Research Achievements |
近年の研究では長鎖非コードRNA (long non-coding RNA: lncRNA) の癌における発現異常及び癌の進展への関与が次々と示されている。一方で口腔癌におけるlncRNAの病的意義や分子生物学的機能は不明な部分が数多い。本研究では口腔扁平上皮癌 (Oral Squamous Cell Carcinoma: OSCC) で癌の進展に関与しうるlncRNAを同定し、その機能的・臨床的意義を明らかにすることで、診断・治療応用につなげることを目的とする。3種類のOSCC細胞株(HSC-3、KON、Ca9-22)を用いてDLEU1ノックダウンにより発現変動する遺伝子をマイクロアレイにより解析した結果、3株に共通して変動する814遺伝子を同定した。Gene Ontology解析の結果、それらの遺伝子は細胞増殖、分化、運動に関与することが示された。またパスウェイ解析から、マトリックスプロテアーゼ、アポトーシス、細胞周期、MAPKシグナルなど癌の増殖、浸潤に関わるパスウェイに関わる遺伝子が多いことが示された。マイクロアレイの結果を定量RT-PCRで検証した結果、HAS3, CD44, BCL2L10, HOXD8, PRDM4, SMYD2, SETD6, KDM1Bなど、癌との関わりが知られる遺伝子がDLEU1ノックダウンにより発現低下することが確認された。またCDH1がDLEU1ノックダウンにより発現上昇することが確認された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マイクロアレイ解析の結果、DLEU1のノックダウンはHAS3, CD44の発現を低下させた。HAS3は細胞外ヒアルロン酸マトリックスを合成し、その過剰発現はHNSCCで癌の増殖、浸潤を促進することが知られている。またCD44はヒアルロン酸をリガンドとするレセプターで、細胞膜に存在する接着分子でありHNSCCでは癌幹細胞マーカーとして報告されている。CD44の過剰発現は上皮間葉移行により転移を促進し、抗アポトーシス作用やMAPKシグナル活性化により腫瘍の増殖及び化学療法抵抗性に関与する。これらの結果よりDLEU1がHAS3を標的とし、HAS3-CD44 シグナルを活性化させることでOSCCの進展に寄与する可能性が考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
ChIRP(Chromatin isolation by RNA purification)法により、DLEU1のゲノム上の結合領域、相互作用タンパクを網羅的に探索する。DLEU1過剰発現系でのマイクロアレイ解析を行い、両者を統合解析することでDLEU1標的遺伝子を同定する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により実験時間が取れず、予定していた研究計画に遅れが生じたため次年度使用額が生じた。次年度使用額についてはChIRPアッセイの試薬やDLEU1過剰発現系で行うマイクロアレイプレートに使用する
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