2022 Fiscal Year Research-status Report
広範囲顎骨欠損に対するメカノバイオロジー最適化スキャフォールドの開発
Project/Area Number |
21K17097
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
宮下 英高 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (20445290)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | スキャフォールド / メカノバイオロジー / 顎骨再建 |
Outline of Annual Research Achievements |
外傷および口腔腫瘍等に起因する広範囲顎骨欠損は著しいQOL低下をきたす。これらの広範囲顎骨欠損に対する再建治療には自家骨を用いることが未だにゴールドスタンダードとされるが、患者負担軽減の観点より、人工材料を使用した新規治療法の開発が望まれている。頭蓋骨欠損等の非過重部位においては、CAD/CAM技術を応用したカスタムメイド人工骨による形態再現性の高い再建が可能となったが、下顎骨等の過重部位においては、強度の担保や長期的な生体安定性の向上など解決すべき点が多く、人工材料による再建方法は確立されていない。近年、足場材の物性が細胞分化に影響を及ぼすことが示され、物理的刺激の生体における感知・伝達・応答機構が解明されつつあるが、再生医療に用いられる多孔質スキャフォールドにおけるそれらの役割については余り知られていない。そこで本研究では、スキャフォールドに使用される材料の性質やそれらを3次元造形した後の物性が、細胞挙動および骨再生に与える影響を検証し、顎骨再建に応用可能なスキャフォールド開発を目指す。 本年度は、昨年度に選定したスキャフォールドに対し、メカニカルストレスを与えるためのシリコン製チャンバーを作製した。本研究で使用するスキャフォールドの主成分は生分解性ポリエステルのポリカプロラクトンであり、スキャフォールド自体に強靭性を有する。それらスキャフォールドに対し、長軸方向に再現性高く圧縮刺激を与えられるようなチャンバー形態を調整し、特殊シリコン膜チャンバーを作製した。また、スキャフォールド上でのMC3T3-E1の細胞培養の最適条件について追加解析を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本実験に使用する特注スキャフォールドは海外で受注製造しており、原料調達難と生産ラインの関係で納期の遅延が生じた。また、特性シリコンチャンバーの製造にも遅延が生じたため、研究課題全体の進捗に遅れを生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
スキャフォールドにメカニカルストレスを与える際の条件検討をさらに実施し、スキャフォールドを介したメカニカルストレスが細胞挙動に与える影響についてさらなる解析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
研究材料の製造工程に遅延が生じ実験の進捗がやや遅れていることと、必要以上に経費をかけずに済んだことが理由として考えられる。今後の使用計画としては、圧縮培養刺激装置の購入など、経費のかさむ実験に使用する計画である。
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