2021 Fiscal Year Research-status Report
CRISPRスクリーニング法を用いたセツキシマブ耐性分子機構の解明
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21K17105
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
喜田 晶洋 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任助教 (60741816)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | CRISPR/CAS9 / 上皮成長因子受容体(EGFR) / 放射線耐性 / CRISPRスクリーニング法 / セツキシマブ |
Outline of Annual Research Achievements |
セツキシマブは頭頸部癌に対する本邦初の分子標的薬で, 口腔扁平上皮癌ではその生存・増殖が上皮成長因子受容体(EGFR)シグナルに依存することから, EGFR 標的治療薬として実際の臨床に投入されている. しかしセツキシマブは, 実際の臨床での治療効果は明確ではなく, 著効例においても, ある時期より抵抗性を獲得し腫瘍の根治は困難となる. これらを補完できる治療法の開発が熱望されており, 解決のためには, セツキシマブに対する薬剤耐性の問題のターゲットを, 分子レベルで極めて詳細かつ明確にバリデートすることが重要である. 近年, 新たなゲノム編集技術である CRISPR/Cas9 を用いた, ゲノムワイドスクリーニング法(以下, CRISPR スクリーニング法)が脚光を浴びている. これはヒトのタンパク質をコードする約 2 万もの遺伝子を短時間に個別に破壊し, その変異細胞が示す異常を調べる強力なツールである. これを癌細胞株に適用することで, 癌細胞の増殖に関わる生物分子学的機構が解明できる. さらには今回セツキシマブに対する耐性株において,その耐性に必要な遺伝子の働きを強力に制御する薬を drug-repositioning の観点から同定出来れば, 開発にかかる期間と費用も削減でき, その意義は極めて大きい.本研究でCRISPR/Cas9 を利用した機能欠損型スクリーニング法を用いて, セツキシマブ耐性メカニズムに関連する遺伝子群を解析し, それらの遺伝子の中から耐性に関与するキーとなる候補遺伝子を選別するとともに, 耐性克服薬を探索することを目的とした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
セツキシマブ耐性標的候補遺伝子の検索を行い,耐性候補遺伝子群を実際に使用する細胞株で解析可能な状態にある. また、耐性/感受性関連遺伝子候補を遺伝子パスウエイ解析ソフト(IPA ソフト)で遺伝子間の相互関係を解析し, 有意な機能(細胞周期, 細胞増殖, 血管新生, 細胞接着,代謝など)に強く関連した遺伝子ネットワークを形成する遺伝子群をさらに絞り込み,臨床的な関連遺伝子の同定は可能となっている.
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Strategy for Future Research Activity |
絞り込んだ遺伝子に関して, CRISPR/Cas9 システムを用いてノックアウト細胞を作製する.
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Causes of Carryover |
次年度にCRISPR/Cas9 システムを用いてノックアウト細胞を作製するため費用を次年度に繰り越した。
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