2021 Fiscal Year Research-status Report
変異型p53が制御する癌のゲノムネットワークの新たな解明
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21K17124
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
佐藤 真理子 神奈川歯科大学, 歯学部, 特任講師 (40898095)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | p53 / 悪性腫瘍 / 遺伝子変異 / クラスリン |
Outline of Annual Research Achievements |
がん抑制遺伝子として知られるp53は、発見当初、がん遺伝子として考えられていた。その理由として、正常細胞では発現が確認されないものの、多くの悪性腫瘍でp53は高発現していたからである。しかしながら後に、p53を高発現している癌細胞に正常p53を強制発現させると、癌細胞が死滅することが証明され、p53はがん抑制遺伝子として認識され、癌細胞で高発現しているp53は変異型p53であることが明らかとなった。現在、患者検体が癌であるかどうかを検討するマーカーとしてもp53は使用されている。通常、p53の高発現は癌細胞の死滅を予想するが、実際のところそうではない矛盾に着目したことが本研究のはじまりである。これまでp53に遺伝子変異が生じると、p53としての機能は消失し、他の遺伝子群に遺伝子変異が生じたとしても、そのまま変異を修復せず、細胞は増殖してしまうと考えられていた。しかしながら、申請者はこれまでの研究により、p53の遺伝子変異は機能喪失ではなく、がん抑制遺伝子と考えられるケモカインCXCL14の発現低下に関与することを見出した。そのメカニズムとして、正常細胞と癌細胞のp53の大きな違いは発現している部位であり、正常細胞では、必要な時だけ発現し、核内で機能するが、癌細胞は常に細胞質で発現している。仮説として、癌細胞ではp53が細胞膜構成タンパク質クラスリンと結合し、クラスリンによるエンドサイトーシス阻害を証明することが本研究の重要事項である。現在、使用する発現ベクターを作成し研究を進行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度は細胞培養のためのインキュベーター、および、遺伝子発現を定量的に行うリアルタイムPCR機器が故障した。本研究は培養細胞に作成した発現ベクターを遺伝子導入することで結果を証明する研究であったが、前述した理由により、研究の進行が大きく遅延した。インキュベーターは研究代表者が所属する機関で購入、リアルタイムPCR機器は本研究費の一部を使用し購入した。また、チューブ内で行える研究については遂行した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、作成したp53発現ベクターをHEK293細胞に遺伝子導入することを優先する。また、p53によって制御を受ける遺伝子群については、マイクロアレイ解析もしくは次世代シークエンスを使用し網羅的に行う予定である。
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Causes of Carryover |
今後、作成したp53発現ベクターをHEK293細胞に遺伝子導入することを優先する。また、p53によって制御を受ける遺伝子群については、マイクロアレイ解析もしくは次世代シークエンスを使用し網羅的に行う予定である。
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