2023 Fiscal Year Annual Research Report
運動療法が顎顔面部のストレス誘発痛を改善する脳神経メカニズムの解明
Project/Area Number |
21K17133
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
長谷川 真奈 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (90779620)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 痛み / ストレス / 顎顔面痛 / 運動療法 / Vc / マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
ストレスは脳機能を変調させ、うつ病など中枢神経系の機能障害による様々な病態をもたらすだけでなく、痛み(ストレス誘発痛)を増大させ、QOLを低下させる。歯科領域でみられる顎顔面部の慢性痛を主症状とする疾患においても、ストレスが痛みの増強因子であることが知られる。一方、ストレスは不可避な存在であるため、これを制御するには日常的な方法でストレスを解消することが望ましい。我々はこれまでに、心理・身体的ストレスモデルを用いた調査により、ストレス誘発痛の中枢メカニズムが“三叉神経脊髄路核尾側亜核(Vc)部の機能の変調”(=ニューロンの興奮性の増大)であり、顎顔面部のストレス誘発痛を軽減するためには、変調した脳機能の改善が重要であることを報告してきた。本研究 は、ストレス解消法として近年注目されている運動療法に着目し、運動療法がストレス誘発性の顎顔面痛に及ぼす影響と、その中枢メカニズムを解明することを目的に実施した。 社会的敗北ストレス(SDS)モデルマウス(オス)対象に、咬筋ホルマリン試験による疼痛関連行動と、Vcでのc-FosおよびFosBタンパクの発現を指標に定量した。SDSマウスでは、咬筋侵害応答およびVcの興奮性が増大した。10日間のSDS処置の直後にトレッドミル走を実施した群では、これらが有意に軽減した。さらに、運動パラメータの変化による影響を検討した。3日に1回運動を実施した群では侵害応答、Vcの興奮性の増大に対し、有意な改善がみられなかった。上記の成果を英文誌に投稿した。
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