2021 Fiscal Year Research-status Report
オートファジー関連分子に着目したシェーグレン症候群の新規治療法の開発
Project/Area Number |
21K17142
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
坂本 瑞樹 九州大学, 大学病院, 医員 (90848029)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | シェーグレン症候群 / CD4陽性ヘルパーT(Th)細胞 / オートファジー |
Outline of Annual Research Achievements |
シェーグレン症候群(SS)は、唾液腺や涙腺などの外分泌腺が障害される臓器特異的自己免疫疾患であり、その発症・病態形成にはCD4陽性ヘルパーT(Th)細胞が重要な役割を果たしていることが示唆されている。近年、ステロイドに代わる新規治療薬として、炎症性サイトカインを標的とした生物学的製剤が開発され、一部の自己免疫疾患では良好な治療効果が得られているが、SSに対する効果は限定的である。その理由として、SSの病態形成にはTh細胞から産生される多種のサイトカインが関与しており、単一のサイトカインを阻害しても病態進展を止めることができないことが推察される。 一方、最近の報告ではオートファジーの機能不全が炎症性サイトカインの過剰産生を促進することが報告されている。そこで本研究では、SS の病因に関与するオートファジー関連遺伝子を抽出し、新規治療法開発および診断方法の基盤を築くことである。そこで本研究の先行実験として、オートファジーに関与する新規疾患感受性遺伝子の同定を目的にSSの口唇腺を用いてDNAマイクロアレイを行い、網羅的遺伝子解析を行った。その結果、慢性唾液腺炎(粘液嚢胞)患者と比較して、45種類の発現増強または減弱しているオートファジー関連遺伝子が抽出され、SSの病態形成にもオートファージが関与していることが示唆された。今年度は、SSの病態形成に関与するTh細胞に焦点を当てて、SS患者および慢性唾液腺炎患者の口唇腺に浸潤するTh細胞を単離して(CD3+CD4+ 細胞をソーティング)、さらにDNAマイクロアレイにて網羅的解析を行う計画であった。 今年度は、まずは対象となる症例の検体収集ならびに、Th細胞の単離(CD3+CD4+ 細胞をソーティング)の技術の確立に焦点を当て研究を行なった。具体的な解析(DNAマイクロアレイ等)については、次年度以降で行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
検体採取、ならびに実験手技の確立に時間を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は、SS患者および慢性唾液腺炎患者の口唇腺に浸潤するTh細胞の単離(CD3+CD4+ 細胞をソーティング)、DNAマイクロアレイによる網羅的解析、そしてSS患者由来のCD3+CD4+ Th細胞において、電子顕微鏡によるオートファゴソームの観察やオートファジーフラックスアッセイを行うことで、オートファジーの活性を検証する。さらに、健常者由来のTh細胞に対して、抽出されたオートファジー関連分子のマイクロRNAを導入・欠失させ、サイトカインの産生やオートファジーの活性を検証する予定である。
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Causes of Carryover |
本来であれば外注の解析を行う予定であったこと、そして学会参加等で情報交換を盛んに行う予定であったがコロナ禍によりオンラインでの参加が主となり旅費が掛からなかったため
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] CD163+ M2 Macrophages Promote Fibrosis in IgG4-RelatedDisease Via Toll-like Receptor 7/Interleukin-Receptor-Associated Kinase 4/NF-κB Signaling2022
Author(s)
Akira Chinju, Masafumi Moriyama, Noriko Kakizoe-Ishiguro, Hu Chen, Yuka Miyahara, A. S. M. Rafiul Haque, Katsuhiro Furusho, Mizuki Sakamoto, Kazuki Kai, Kotono Kibe, Sachiko Hatakeyama-Furukawa, Miho Ito-Ohta, Takashi Maehara, Seiji Nakamura
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Journal Title
Arthritis & Rheumatology
Volume: 74
Pages: 892-901
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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