2023 Fiscal Year Research-status Report
オートファジー関連分子に着目したシェーグレン症候群の新規治療法の開発
Project/Area Number |
21K17142
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中村 瑞樹 (坂本瑞樹) 九州大学, 歯学研究院, 助教 (90848029)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | オートファジー / ATG / 自然免疫 / TLR8 / Th1細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、SSの病因に関与するオートファジー関連遺伝子を抽出し、新規治療法開発および診断方法の基盤を築くことである。SSの口唇腺を用いてDNAマイクロアレイを行い、45種類のオートファジー関連遺伝子が抽出され、SSの病態形成にもオートファージが関与していることが示唆された。他方DNAマイクロアレイの結果から、自然免疫に重要な役割を果たすTLR関連分子、 特にTLR1、7、8、9 の遺伝子発現の亢進を認めた。PCRを行ったところ、SSではTLR7と8の発現量が有意に増加していた。蛍光免疫多 重染色でもいずれも発現を認めたが、その局在は明らかに異なった。TLR7とSSの関与についてはすでに報告が散見されたため、TLR8に着目し検討を進めたところ、SSにおけるTLR8の主な発現細胞はCD68陽性単球・マクロファージであった。刺激実験では、TLR8依存的にヒト単球のTNF-α 産生が促進されていることが明らかとなった。また、SSの口唇腺をCD45で抽出し、シングルセル解析を行うと、TLR8陽性細胞は全てがCD68陽性細胞と一致していた。単球/マクロファージはTLR8 刺激を介してTNF-αを産生して、Th1誘導 型炎症を惹起し、SSの発症に関与していることが示唆された。さらに、SSと同様に唾液腺を罹患臓器とする自己免疫疾患としては、IgG4関連涙腺・唾液腺炎(IgG4-DS)が広く知られているが、生検組織(顎下腺)のシングルセル解析の結果から、IgG4-DSの病態にオートファジー関連遺伝子(ATG)-9およびTh細胞に関与することが示唆された。今後は、さらにSSの病態形成に関与するTh細胞に焦点を当てて、SS患者および慢性唾液腺炎患者の口唇腺に浸潤するTh細胞を単離して(CD3+CD4+ 細胞をソーティング)、さらにシングルセル解析ならびにDNAマイクロアレイで網羅的解析を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
生検組織少なく、サンプルの取り扱いに苦慮したこと、また電子顕微鏡によるオートファゴソームの観察やオートファジーフラックスアッセイといったオートファジーの活性を検証するの確立ができていないという点で、やや遅れていると評価したが、類似疾患であるIgG4-DSで着目すべきATGが絞られたことは、大きな成果であり、前述の通り、今後はSSの病態形成に関与するTh細胞に焦点を当てて、SS患者および慢性唾液腺炎患者の口唇腺に浸潤するTh細胞を単離して(CD3+CD4+ 細胞をソーティング)、さらに網羅的解析を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はSSの病態形成に関与するTh細胞に焦点を当てて、SS患者および慢性唾液腺炎患者の口唇腺に浸潤するTh細胞を単離してオートファジー活性の検証を進める。一方で、新規で着目した自然免疫に関与すると言われるTLR8については、Th細胞との関与が示唆されており、オー トファジーとの関与についても検証する。
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Causes of Carryover |
オートファジー関連の研究手法が未だ確立しておらず、目標とする研究に到達できていないことから使用額が予定より少なくなった。今後は、より積極的な情報国間や学会発表を行うことで、本研究をブラッシュアップしていき、研究目標に到達していく。
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Research Products
(2 results)