2022 Fiscal Year Research-status Report
がん糖代謝が制御する口腔扁平上皮癌のNrf2抗酸化経路を介した放射線耐性機序解明
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21K17145
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
松岡 祐一郎 熊本大学, 病院, 医員 (10802100)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 口腔扁平上皮癌 / 放射線耐性 / Nrf2 / がん糖代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らは前年度の実験結果として、樹立した臨床的放射線耐性細胞であるclinically relevant radioresistant(CRR)細胞は口腔扁平上皮癌(OSCC)細胞より放射線抵抗性を示すことをin vitro実験で確認した。がん糖代謝のリプログラミングとしてNrf2代謝調に OSCC放射線耐性機構の機能解明のため、放射線耐性OSCC細胞においてNrf2と代謝機構や抗酸化能との関連を検討した。まず、siRNAを用いたNrf2ノックダウンを行うことでOSCC細胞、CRR細胞は放射線感受性が高まった。次いで、Nrf2と解糖系代謝との関連性を検討した。解糖活性は OSCC細胞よりもCRR細胞の方が高く、siRNA による Nrf2 抑制により解糖活性が減少した。さらに、解糖とTCA サイクルに関連する遺伝子の発現量の変化を調べた結果、CRR細胞はそれぞれピルビン酸とグルタチオンを合成するME1とGCLC/GCLM を強く発現を認めた。 対照的に、ME1およびGCLC/GCLM mRNA の発現は、Nrf2抑制条件下で大幅に減少した。しかしながら、解糖代謝への依存は非機能的TP53変異の有無によって異なっていた。また、CRR細胞においてNrf2がグルタチオンを介して酸化ストレスを調節するかどうかを検討した。CRR細胞ではGSH レベルが有意に高かく、Nrf2を抑制すると大幅に減少した。同様に、CRR細胞では放射線照射後、ROSのレベルが低下し、Nrf2 抑制後にはROSのレベルが増加した。CRR細胞では、活性化されたNrf2下でグルタチオンを介してROSを除去することが示唆された。本研究の予備実験として行った解析で術前化学放射線療法施行後OSCC患者110例の術前生検標本においてリン酸化Nrf2の発現と組織学的治療効果との間に関連性があること、および不良な患者予後に相関する結果を得ていた。そこで、多変量解析解析を行った結果、リン酸化Nrf2の発現がOSCC患者の独立した予後因子であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
申請者らは本研究で、臨床的放射線耐性細胞であるCRR細胞を使用したOSCCにおける放射線耐性の根底にある分子メカニズムを特定した。OSCCの放射線耐性を検証した過去の研究とは異なり、本研究で複数のCRR細胞株を使用してOSCCのおける放射線耐性のメカニズムを初めて解明した。また、Nrf2がOSCC細胞において代謝調節を伴う抗酸化能力によって放射線に対する耐性を制御し、リン酸化Nrf2の発現が化学放射線療法の効果と密接に関連し、進行OSCC患者の予後と相関していることを初めて明らかにした。本研究をまとめ、「The atioxidative stress regulator Nrf2 potentiates radioresistance of oral squamous cell carcinoma accompanied with metabolic modulation」というタイトルで学術雑誌へ投稿した。
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Strategy for Future Research Activity |
申請者らは、本研究の結果をまとめ「The atioxidative stress regulator Nrf2 potentiates radioresistance of oral squamous cell carcinoma accompanied with metabolic modulation」というタイトルで学術雑誌へ投稿した。しかしながら、本研究の目的であるNrf2抗酸化経路を介した放射線耐性機構の解明の他ために更なる検証が必要である。そのため、非機能的TP53変異を有する臨床的放射線耐性細胞であるCRR細胞株の樹立を行い、非機能的TP53変異株であるHSC-2細胞とそのCRR細胞であるHSC-2-R細胞と同様な結果が得られるかを検証していく予定である。また、Nrf2阻害下もしくはNrf2ノックダウンしたin vivoマウスモデルにてNrf2抑制の放射線感受性への影響を検討する予定である。
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Causes of Carryover |
コロナウイルス感染症流行で現地での学会参加のための旅費の計上が発生しなかったため、残額が発生しました。 次年度において物品費や学会参加・旅費での計上を計画しております。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] FOXM1-Mediated Regulation of Reactive Oxygen Species and Radioresistance in Oral Squamous Cell Carcinoma Cells2023
Author(s)
Takeshita H, Yoshida R, Inoue J, Ishikawa K, Shinohara K, Hirayama M, Oyama T, Kubo R, Yamana Y, Nagao Y, Gohara S, Sakata J, Nakashima H, Matsuoka Y, Nakamoto M, Hirayama M, Kawahara K, Takahashi N, Hirosue A, Kuwahara Y, Fukumoto M, Toya R, Murakami R, Nakayama H
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Journal Title
Laboratory Investigation
Volume: 5
Pages: 10060
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] The antioxidative stress regulator Nrf2 potentiates radioresistance of oral squamous cell carcinoma accompanied with metabolic modulation2022
Author(s)
Yuichiro Matsuoka, Ryoji Yoshida, Kenta Kawahara, Junki Sakata, Hidetaka Arita, Hikaru Nkashima, Nozomu Takahashi, Masatoshi Hirayama, Masashi Nagata, Akiyuki Hirosue, Yoshikazu Kuwahara, Manabu Fukumoto, Ryo Toya, Ryuji Murakami, and Hideki Nakayama
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Journal Title
Laboratory Investigation
Volume: 8
Pages: 896-907
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] An oncolytic virus as a promising candidate for the treatment of radioresistant oral squamous cell carcinoma2022
Author(s)
Gohara S, Shinohara K, Yoshida R, Kariya R, Tazawa H, Hashimoto M, Inoue J, Kubo R, Nakashima H, Arita H, Kawaguchi S, Yamana K, Nagao Y, Iwamoto A, Sakata J, Matsuoka Y, Takeshita H, Hirayama M, Kawahara K, Nagata M, Hirosue A, Kuwahara Y, Fukumoto M, Okada S, Urata Y, Fujiwara T, Nakayama H.
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Journal Title
Molcular Therapy Oncolytics
Volume: 27
Pages: 141-156
DOI
Peer Reviewed / Open Access