2022 Fiscal Year Annual Research Report
環境要因と遺伝要因により部分無歯症に至るメカニズムの解明
Project/Area Number |
21K17158
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中津川 昂平 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (40848248)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 部分無歯症 / Wnt10A |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目標は,出生直後のR26-WntVisマウスあるいはWNT10Aノックアウトマウスにシクロホスファミド(CPA),バルプロ酸(VPA),レチノイン酸(RA)を投与し,カノニカルWntシグナルの変化を解析することで環境的要因と遺伝的要因による歯胚形成異常のメカニズムを解明することである。本研究では,歯胚の発生に重要とされているカノニカルWntシグナルをGFPで可視化するマウス(R26-WntVisマウス)を用い,抗がん剤のCPA,抗てんかん薬であるVPA,ビタミンAの代謝産物であるRAの投与を行うことで,環境的 要因による歯の発生過程への影響の探索を行うことを目標とした。 CPA,VPA,RA投与が及ぼす臼歯と切歯歯胚におけるWntシグナルへの影響を明らかにし,臼歯や切歯形成異常が生じる原因を解明する。まずR26-WntVisレポーターマウスにCPAを投与し,投与後マウス切歯と臼歯歯胚の凍結切片を作成し,Wntシグナルを観察することでエナメルノットやWntシグナルの薬剤投与後の変化について解析した。また,細胞死の解析をするために凍結切片の蛍光染色を行い,細胞動態の観察を行った。 我々の先行研究の結果より、生後4日のマウスにCPAを投与すると帽状期であるM3が消失することが示されている。そのため本研究では生後4日のR26-WntVisマウスにCPAを投与し、投与1-2日後においてM3と切歯の組織切片のTUNEL染色を行った。実験群のM3と切歯のサービカルループ周囲では、TUNEL染色陽性細胞は増加していた。M3の歯胚は縮小し、アポトーシスの増加によってM3の欠如が生じていると考えられた。実験群では、GFPが発現している細胞周囲にTUNEL染色陽性細胞が増加していた。これらの結果から、CPA投与直後にはWntシグナルに隣接した細胞特異的にアポトーシスが生じることが示唆された。
|