2021 Fiscal Year Research-status Report
フラボノイド配糖体生薬を応用した変形性顎関節症治療法の探索と下顎頭吸収機序の解明
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21K17160
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
木村 綾 広島大学, 医系科学研究科(歯), 研究員 (00823197)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 変形性顎関節症 / フラボノイド / 代謝活性 / 生薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯科臨床において、変形性顎関節症 (TMJ-OA) を伴う患者に遭遇する。顎関節症の治療法は主に対症療法であり、有効な治療法の確立が急務である。関節軟骨の変形と破壊を特徴とするTMJ-OAは、世界人口の約 2~3 %で発症しており、我が国においても、増加傾向にあるにも関わらず、根本的な治療法は、未だ確立されていない。 生薬のオウゴンの主成分であるバイカリンは、骨粗鬆症等の骨代謝疾患や炎症性疾患において、副作用の少ない安全な補助治療薬として注目されている。しかしながら、生体内でどのような作用機序で治癒促進されるかは立証されておらず、科学的根拠に基づいた治療 (Evidence-Based-Medecine; EBM) には至っていない。 本研究では、バイカリンにおける顎関節軟骨細胞の代謝調節機構に及ぼす影響および抗炎症作用についても検証することにより、TMJ-OA 発症機序と新規治療法の確立を目的としている。さらに、ラットTMJ-OA モデルにおいて、バイカリン添加により軟骨再生・修復が達成されるか否かを確認する。 初年度ではin vitro実験系にて、フラボノイド類化合物バイカリンの添加が培養下顎頭軟骨細胞の基質代謝に対する影響について検討を行った。バイカリン添加が下顎頭軟骨細胞の増殖能・DNA合成能に及ぼす影響について検討を行ったところ、バイカリン添加群と非添加群との間に有意差は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
初年度ではフラボノイド類化合物バイカリンの添加が下顎頭軟骨細胞の基質代謝に対する影響について検討を行い、細胞増殖能、基質代謝能検討まで結果を得ることができた。 しかしながら、予備実験等に時間を要したため軟骨関連代謝マーカー(アグリカン、Ⅱ型コラーゲン、Sox-2など)の発現レベルについて、PCRを用いた遺伝子解析および定量 Western blot 解析、さらに、機械的刺激下におけるバイカリン添加が下顎頭軟骨細胞に及ぼす影響の検討までは至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はin vitro実験系を続け、フラボノイド類化合物バイカリンが下顎頭軟骨細胞の基質代謝に対する影響、およびシグナル伝達経路の解明、さらには、機械的刺激下におけるバイカリン添加が下顎頭軟骨細胞に及ぼす影響について検証する予定である。その後、in vivo実験系において、バイカリン投与がマウスTMJ-OAモデルに及ぼす影響の解明についても検証を行っていきたい。
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Causes of Carryover |
研究の進捗状況に伴い消耗品費が予定より少ない金額で済んだため。今年度はフラボノイド類化合物バイカリンが下顎頭軟骨細胞の基質代謝に対する影響、およびシグナル伝達経路の解明、さらには、機械的刺激下におけるバイカリン添加が下顎頭軟骨細胞に及ぼす影響についての検討を行い、物品購入費として使用予定である。
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