2021 Fiscal Year Research-status Report
間葉系幹細胞によるマクロファージ分極化機構に着目した小児期侵襲性歯周炎治療法開発
Project/Area Number |
21K17167
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
氏家 隼人 岩手医科大学, 歯学部, 研究員 (70826148)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 間葉系幹細胞 / マクロファージ / 侵襲性歯周炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
口腔組織由来の間葉系幹細胞mesenchymal stem cell (MSC)がAggregatibacter actinomycetemcomitance (A.a)由来lypopolysaccharide (LPS)により炎症性マクロファージ(M1-MΦ)を抗炎症性マクロファージ(M2-MΦ)に分極化する分子メカニズムを解明し、新たな小児期の侵襲性歯周炎治療法樹立のための分子基盤を確立すべく、令和3年度(1年目)より本研究を開始した。具体的には、将来的なマウス歯根膜由来MSCを用いたin vitro並びにin vivo実験系によるM2-MΦ分極化誘導メカニズムの解明の前段階として、ヒトMSC細胞が旺盛に産生するマクロファージの分極化やホーミングに関わるサイトカイン・ケモカインについての確認実験を実施した。本研究計画では、マウスあるいはラット由来細胞やマウスを利用した動物実験による研究成果をもとに、ヒト(小児)を対象とした歯周炎治療法樹立のための分子基盤の確立を目指す流れとしている。しかし、げっ歯類とヒトでは、その体内で産生されるサイトカインやケモカインの種類が一部異なることから、まずはヒト由来MSC培養細胞で産生されるサイトカインやケモカインの内容について明らかとしておき、マウスあるいはラット由来試料の利用により得られたデータの分析の際の参考データとして利用する予定である。今回の研究成果として、ヒト由来MSC培養細胞では、LPS未刺激の条件下でもIL-6やCXCL8などの炎症性サイトカインや炎症増強性ケモカインの高い発現量が確認された。現在、炎症性刺激下でのヒト由来MSC培養細胞におけるサイトカインやケモカインの発現量についても確認しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績の概要欄で記載した通りに、ヒト由来MSC培養細胞からの炎症性サイトカインや炎症増強性ケモカイン発現について明らかとしているが、マウスやラット由来の試料を用いた実験が、当初の予定よりもやや遅れているため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要で記載した通りに、炎症性刺激下でのヒト由来MSC培養細胞におけるサイトカインやケモカインの発現量についての調査を継続して進める。 また、下記のごとく、当初の研究計画通りに研究を進める。 (1)MSCにLPSや炎症性サイトカインや抗炎症性サイトカインを与えた際にその発現に変化が認められる分泌性タンパク質、シグナル伝達分子及び細胞間接着因子を網羅的に捉えて、これらを間葉系幹細胞由来のMΦの分極化誘導モデル分子としてピックアップする。(2)MSCに(1)と同様の刺激を加え、そのリン酸化の程度が異なる分子について液体クロマトグラフィー(LC-MS/MS)を利用して網羅的に調査して、これらを間葉系幹細胞由来のMΦの分極化誘導モデル分子としてピックアップする。 以上の(1)と(2)の研究を令和4年度までに完了し、令和5年度では、それまでにピックアップしたモデル分子の遺伝子強発現系や遺伝子ノックダウン系あるいはmiRNA mimicやmiRNA inhibitorの投与により、MΦの分極化誘導モデル分子をin vitroで絞り込みたい。
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Causes of Carryover |
これまでに、ヒト由来MSC培養細胞では、炎症性刺激のない条件下でもIL-6やCXCL8などの炎症性サイトカインや炎症増強性ケモカインの高い発現量が確認されたが、炎症性刺激下でのこの細胞におけるサイトカインやケモカインの発現量についての調査が令和3年度中に完了しなかった。このため、この残りの調査を次年度(令和4年度)に実施する予定としたため。また、マウスやラット由来試料を用いた実験についても当初の予定より遅れており、この遅れた分の実験についても次年度(令和4年度)に実施する予定としたため。
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