2021 Fiscal Year Research-status Report
コーンビームCT画像から取得した3次元的顎顔面形態と関連する網羅的ヒトゲノム解析
Project/Area Number |
21K17170
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
疋田 悠 神奈川歯科大学, その他部局等, 特任講師 (70824994)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 顎顔面頭蓋 / ゲノム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
咬合異常は顎顔面頭蓋の形態異常による不正と個々の歯の位置異常が相乗して生じる。その原因を遺伝的要因、環境的要因のように表現はするものの、明瞭に区別することができるものは少ない。一方、ゲノム科学の進展により顎顔面形態を特徴づける根幹のゲノム情報が少しずつ明らかになってきた。しかし、サンプルサイズに起因した再現性、あるいは表面形状のみによる形態解析という点に課題がある。本研究は、詳細な形態解析を可能とするセファロ(側面・正面)と歯・顎顔面用コーンビームCT画像を有する対象者数としては世界最大の1000人について多因子形質の遺伝的原因を解明する有力な手法である「網羅的ゲノム解析」を用いて新規の、あるいは機能が明らかにされていない遺伝因子の同定を目的とする。
これまでの顎口腔領域に関連した疾患・形質に関与する遺伝因子についての研究は先天性疾患や遺伝子改変動物の表現型、ならびに集団遺伝学の応用に基づく「候補遺伝子関連解析」が実施されてきた。しかし、歯の形態や頭蓋顎顔面形態をはじめとする顎口腔領域に関連した形質のほとんどは多因子形質である。本研究は網羅的ゲノム解析という先進的な研究手法を応用し顎顔面形態に関与する新規の、あるいは機能が明らかにされていない遺伝因子を解明する。遺伝因子の解明は病態の理解、発症リスクの予測(遺伝子診断)あるいは予防法の確立など歯科臨床に寄与する。
本申請課題は既に関連倫理委員会の承認を得ている。約1000人の網羅的ゲノム解析、すなわち検体収集、DNA抽出を完了している。合計1000人には歯・顎顔面用コーンビームCT画像を有する500人が含まれている。2021年度は特に歯・顎顔面用コーンビームCT画像による顎顔面形態の形態解析を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度以降ではタイピングデータ解析から遺伝統計学的解析結果をもとにターゲットリシークエンスと遺伝統計学的解析を実施する。同時に、別集団で関連が報告されているSNPs(一塩基多型)について再現検証する予定である。1)顎顔面形態評価 2)SNPs(一塩基多型)のタイピング 3)データセットのquality control 4)関心領域のターゲットリシークエンス 5)遺伝統計学的解 6)表面形状研究結果の再現検証 7)研究成果の総括 の順で進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
1.セファロ(側面・正面)、歯・顎顔面用コーンビームCT画像など表面形状にとどまらない顎顔面形態のヒトゲノム解析として国内・国外において最大である。最大の対象者数は新規の、あるいは機能が明らかにされていない遺伝子を同定する可能性を高める。 2.セファロ(側面・正面)のみならず歯・顎顔面用コーンビームCT画像から得られる詳細な形質解析から、より精度の高い研究成果を得る。 3.本研究では日本人、韓国人、European descentなど複数の集団(人種)を解析し、顎顔面形態との関連をより正確に確証する。一方、ヒトゲノムの多型は人種間でその場所と頻度にかなりの隔たりがあることが知られている。しかし、タイピングに用いるイルミナOmniExpressは複数の人種集団の中でも高いゲノムカバー率を有することから頻度が小さいSNPs(一塩基多型)についても関連を検証できる。
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Causes of Carryover |
解析試薬の調達が、当初、予定していた額よりも小さく済んだため。
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Research Products
(2 results)