2022 Fiscal Year Annual Research Report
口腔細菌間ネットワークによる口臭成分メチルメルカプタンの増強促進機構の解明
Project/Area Number |
21K17196
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
原 武史 大阪大学, 大学院薬学研究科, 招へい研究員 (10898224)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 口臭 / 口腔細菌 / 細菌間相互作用 / 歯周病 |
Outline of Annual Research Achievements |
口臭の原因成分の中でもメチルメルカプタン(CH3SH)は微量でも非常に強力な臭気を発する。また、CH3SHは日本人の8割が羅患している歯周病の悪化因子としても注目されている。これまでに私は、嫌気環境下で口腔細菌が産生したCH3SHガスを直接定量するin vitro VSCs評価系を構築し、F. nucleatum(Fn)とS. gordonii(Sg)の共存によってCH3SHの発生が増加する「口臭増強機構」を発見した。そこで、この増加がクオラムセンシング由来の可能性について確認するため、オートインデューサー(AI-2)分子合成の関連遺伝子を変異させた変異株との共培養やAI-2関連化合物を単培養系に添加し、CH3SH増加を確認したが、CH3SH産生に大きな増加は確認できなかった。つまり、本現象はクオラムセンシング由来ではないことが示唆された。そこで、FnとSgが直接接触はしないが共生環境で共培養可能な非接触型共培養系を構築し、CH3SH産生量を確認した。その結果、非接触型共培養系でもSgの存在によってFnのCH3SH産生量は約3倍に増加することが示された。次に、共培養前後での各菌体の菌体外代謝物の変動をUPLCで解析したところ、Fn-Sg野生型とFn-SgΔarcD(アルギニン/オルニチン対向輸送体欠損ΔarcD株)の共培養上清の代謝物分析から、CH3SH生成にはSgから放出されるオルニチンとその脱炭酸反応によって生じるポリアミン類が必要であることが示された。また、[13C5,15N] L-メチオニンを用いたFn菌体内代謝動態解析から、ポリアミン類が脱炭酸型 S-アデノシルメチオニンから5’-メチルチオアデノシンを生成する反応に必要であり、その下流に位置するメチオニンサルベージ経路をCH3SH産生を伴いつつ回転させていることが示唆された。
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Research Products
(1 results)