2021 Fiscal Year Research-status Report
口腔癌に対する新規抗がん薬剤の治療実態および費用対効果に関する疫学研究
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21K17204
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
河村 佳穂里 大阪歯科大学, 歯学部, 講師 (20737019)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 口腔がん / 分子標的治療薬 / 医療費 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年新規抗がん薬剤としてセツキシマブとニボルマブが口腔癌へ適応拡大された。化学療法のレジメン数が増加し、患者ごとに適した治療選択が可能となり予後の向上が期待される中、国民医療費は増大し続けており、医療の質と費用対効果を高めるためにエビデンスに基づいた医療政策が重要視されてきている。日本では口腔癌に関する疾病、治療実態に関する全国統計が不足している。本研究では、医療ビッグデータ(大規模診療報酬請求情報データベース)をもとに口腔癌患者の新規抗がん薬剤の治療実態と長期予後を記述し、口腔癌患者の医療費について調査する。また口腔癌患者のQOLに関する情報収集を行い、今後口腔癌の治療選択を行う上で医療経済学的な観点から最適な医療を提供する一助になる知見を見出す。 本研究の初年度の実績として、医療データ関連企業から口腔癌患者の大規模診療報酬請求データベースを購入し、約20000人の頭頸部がん患者のうち、新規に口腔がんと診断された約3000人のデータを解析対象集団として、口腔がん患者の治療実態、新規抗がん剤であるセツキシマブの処方実態について解析を行った。本データベースは、医療機関の診療情報と比較して、患者の情報を網羅できるという強みがあり、受診医療機関に関わらず、患者の情報が一元的に集まるメリットがあり、新規抗がん剤の治療実態について長期追跡が可能である。2012年以降に歯科の診療報酬請求情報もデータベース化されたため、口腔がん治療に際して、周術期口腔機能管理とともに実際に算定された歯科診療行為の集計を合わせて行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度は、NDBの申請なども考慮していたが、環境整備などの観点から非常に難しいことが予測され、すぐに大規模診療報酬請求データベースを購入することで、口腔がんに対する治療実態についての解析を進めることができた。引き続き同データベースでの医療費に関する解析を進める。 また協力医療機関に口腔がん患者に対するアンケート調査などを依頼して、口腔がん患者のPatient reported outcomeを入手する予定であったが新型コロナウィルス感染症などの影響で準備が大幅に遅れているが、今後状況を考慮しながら情報収集の対応を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
日本では口腔がんに関する全国統計が不足している。わが国ではがん登録が徐々に普及しつつあるが、まだ不十分であり、口腔がん患者の罹患割合や医療現場の治療実態に関しては、全国規模の疫学調査が必要である。初年度に解析した口腔がん患者に対する新抗がん剤を含めた治療実態に関する解析結果を関連学会および雑誌へ成果報告を行う。 さらに協力医療機関に対して口腔がん患者の治療、費用、QOLに関するアンケート調査の依頼準備を進め、大学および可能な機関から可能な限り情報収集を行う予定である。 口腔癌に対する新規抗がん剤により、レジメンが多様化する中、今後治療成績の向上が. 期待されている反面、その薬剤費は国民医療費に大きく影響を及ぼすほどで社会から注目を集めている。口腔癌に対する新規抗がん薬剤の使用実態を明らかにし、従来の化学療法の生存率、治療期間、副作用の発現頻度、QOLについて比較した場合に、医療費が患者のOutcomeに見合っているのかを評価する。
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