2022 Fiscal Year Research-status Report
口腔細菌叢をターゲットとした新たな周産期合併症予測モデルの開発
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21K17208
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
玉原 亨 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 講師 (40756235)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 口腔細菌叢 / 周産期 / コホート / 歯周病 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では周産期における口腔内細菌叢の変化に着目をし、周産期の口腔内細菌叢変化と周産期合併症の関連について探索をおこなう。この結果から、口腔内細菌叢をターゲットとした周産期合併症リスク予測モデルを構築し、比較的容易に介入できる口腔内環境の整備が周産期合併症のリスク軽減に寄与し得ることを明らかにする。具体的には、周産期の細菌叢の変動をUnifrac距離を用いて表現することで周産期合併症の原因となる口腔内細菌叢変動パターンを分離する。分離されたパターンおよびコホート調査における生理・生化学データを材料に機械学習をおこない、マルチモーダルベイジアンネットワークを構築することで、周産期合併症のリスク予想モデルを構築する。 これまでのところ、269人の妊婦の唾液検体(807検体)の解析は21年度に終了している。22年度は歯垢検体(807検体)を用いて検体に含まれる細菌の16SrRNA配列の取得をおこない、検体間の細菌叢の変動をUnifrac距離を用いて算出した。また、周産期合併症に特有の歯垢細菌叢の時系列変化パターンの解析をおこなった。そして、唾液・歯垢それぞれの妊婦の周産期における口腔内細菌叢の変化をUnifrac距離を用いて表現し、周産期合併症の有無で重みを付けることによって時系列変化パターンを分離した。これら一連の分析から、唾液・歯垢ともに周産期特有のパターンを見出すことができ、さらに早産となる口腔細菌叢変化パターンがある可能性を示唆することができた。 現在は、唾液及び歯垢検体から作成したUnifrac移動距離の確率分布、およびコホート調査から取得した生理・生化学データを材料にして、python上で確率モデルを実装できるEdwardライブラリを用いて機械学習をおこなっており、様々な変数を投入することで適切なマルチモーダルベイジアンネットワークを構築することを試みている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は下記2点の研究を進行する計画であったが、その2点とも大部分は達成することができた。具体的には、 1.周産期合併症に特有の歯垢細菌叢の時系列変化パターンの解析、2.適切なマルチモーダルベイジアンネットワークを構築の2点である。1.については、歯垢検体(807検体)を用いて検体に含まれる細菌の16SrRNA配列の取得を予定どおりおこなうことができた。そしてMiseqにより得られた16SrRNA配列から、QIIME2パイプラインに沿って各検体に含まれる細菌の組成を明らかにし、検体間の細菌叢の変動Unifrac距離を用いて算出した。さらに、歯垢・唾液それぞれの妊婦の周産期における口腔内細菌叢の変化をUnifrac距離を用いて表現し、周産期合併症の有無で重みを付けることによって時系列変化パターンを予定どおり分離することができた。 2.については、唾液及び歯垢検体から作成したUnifrac移動距離の確率分布、およびコホート調査から取得した生理・生化学データを材料にして、python上で確率モデルを実装できるEdwardライブラリを用いて機械学習をおこなっている。様々な変数を投入することで適切なマルチモーダルベイジアンネットワークを構築することを試みている。
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Strategy for Future Research Activity |
下記2点をおこなう予定である。具体的には、1.口腔内細菌叢の時系列変化パターンを用いたベイジアンネットワークの構築、2.構築したベイジアンネットワークの感度、特異度の算出の2点である。 1.については昨年度に引き続き、唾液及び歯垢検体から作成したUnifrac移動距離の確率分布およびコホート調査から取得した生理・生化学データを材料に、python上で確率モデルを実装できるEdwardライブラリを用いて機械学習をおこない、マルチモーダルベイジアンネットワークを構築する。 2.については、TMM計画のコホート調査に参加した約4000人の妊婦のうち、周産期合併症の有無でランダムにそれぞれ50人抽出し、構築したネットワークに代入してモデルの感度と特異度を算出する。算出に使用した情報はその都度学習材料としてネットワークに組み込む。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が2,490円となった理由は、今年度に購入する予定であった試薬・物品が円安のため大幅に値上がりをしてしまったため実際の購入試薬・物品に変更が生じたためである。次年度に、試薬の値上がりを加味して試薬・物品を再計算することで実験に必要な試薬を揃える予定である。
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