2023 Fiscal Year Research-status Report
歯学生の地域志向性を涵養する効果的な地域歯科医療教育法の開発
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21K17214
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
大戸 敬之 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 助教 (60754299)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 地域歯科医療 / 離島・僻地 / 地域志向性 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、歯学生が地域歯科医療実習を経験することにより、実習前後で学生の認識がどのように変化したのか、検証をおこなった。研究代表者の所属機関の歯学生を対象として、実習前の半構造化インタビューと実習ポートフォリオから、主題分析法を用いて学生の認識の変化について分析した。その結果、実習前後で離島歯科医療に対する認識モデルを得ることができた。実習前では、豊かな自然といった離島歯科医療への促進因子と担当する歯科医療の幅の広さという障壁因子が学生の認識の主要な構成要素としてあげられていた。また実習後では、本土からの距離などの障壁因子が増加しており、促進因子が減少していることが確認された。昨年度に実施した分析から既に離島で診療を行う際の障壁因子の増加は明らかとなっていたが、今回の調査では「(離島ではなく)『地域』の歯科医療に貢献したいという意欲」という新たな要素を得ることができた。実習を通じて、時間的・物理的距離に直面することが認識に大きく影響していたと考えられるが、さらに短期間の離島実習における効果として、地域貢献への意欲が高まるという好影響が示唆されており、学生の地域志向性を向上することができる大きな要因であると考えられる。今後は、離島で実際に診療を行い、「離島の歯科医師」を体現している歯科医師に求められるコンピテンシーを明らかにし、今後の教育プログラムの改善の方策につなげていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は、実習前後や半構造化インタビューだけでないポートフォリオからのデータ収集も実施することができ、また分析も概ね順調に進めることができた。以上から、全体としてはおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、地域志向性の涵養に影響する因子は概ね分析をできたことから、離島で診療を行う歯科医師のコンピテンシーを明らかにし、その内容を踏まえた学士課程の教育プログラムや離島歯科医療実習の改善へ提言できるように研究を進めていきたいと考える。
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Causes of Carryover |
学会のオンライン開催が継続しており、参加した2学会がオンライン参加であったことから、当初計上していた旅費が必要なくなったことが大きな要因である。一方で、今後国際雑誌への投稿を行う予定であることから、英文構成費や投稿費に支出予定である。
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Research Products
(2 results)