2021 Fiscal Year Research-status Report
揮発性低分子情報を用いた早期口腔がんスクリーニング法の開発と有用性の臨床的検討
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21K17216
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
茂山 博代 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (20875554)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 揮発性低分子有機化合物 / 口腔がん / スクリーニング / ガスクロマトグラフ質量分析装置 / バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
揮発性低分子有機化合物(Volatile Organic Compound, 以下VOC)は生体内の代謝変化を反映するバイオマーカー分子として注目されている。しかしながら、VOCと疾患の関連性については不明な点が多い。近年、我々は独自に開発したVOC抽出手法を用いて健常者と舌がん患者の唾液中VOC成分分析を行い、疾患の進行に伴い代謝成分が特異的に変化することを明らかにした。 現在、口腔がん検診や口腔粘膜疾患の検査に用いられる口腔細胞診は、組織診(生検)と比べて低侵襲であるが診断基準が明確にされていないため、白板症や紅板症などの前がん病変ないし初期の口腔がんの判定は推定診断にとどまっている。本研究はVOC分子情報を活用し病態特異的な成分の特定を行うことで、前がん病変を含む早期の口腔がんスクリーニング法の開発および有用性の評価を行うことを目的とした。 今年度我々は、舌、歯肉、頬粘膜がん患者の唾液サンプルを用いてVOCの検出パターンに部位特異的な特徴があるか検討した。その結果、全てのがん種に共通して検出するバイオマーカー候補成分およびサブバイオマーカー候補成分の組み合わせにより、部位別口腔がんの診断に有用である可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
口腔擦過細胞を用いたベースライン調査開始前に、唾液サンプルを用いてがんの罹患部位、進行に伴いVOC検出パターンがどのように変化するのか検討する必要があったため。
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Strategy for Future Research Activity |
本学附属病院の50~70歳代の患者60名(口腔がん20名、前がん病変20名、慢性歯周病患者20名)を対象にベースライン調査を実施する。 口腔細胞診ガイドラインに従い、滅菌済歯間ブラシを用いて粘膜面を均一な圧力で10回程度擦過する。口腔がん患者および前がん病変患者は病変部から細胞を採取し、歯周病患者に関しては辺縁歯肉を擦過する。採取した歯間ブラシは速やかにスクリュー管に入れ、VOCの抽出および成分分析を行う。 代謝物組成解析ソフトOriginPro 2021bを用いて、VOC検出量を濃度パターンで示すヒートマップ解析を行い、有意に発現した成分の選定を行う。さらに主成分分析を行い、グループ間の識別が可能なVOC成分を特定し、先行研究との比較・考察を行う。
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Causes of Carryover |
今年度開始予定であった、口腔擦過細胞を用いたベースライン調査に伴う消耗品の購入が行われなかったため。
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Research Products
(1 results)