2022 Fiscal Year Research-status Report
Withコロナ時代におけるVRを用いた新たな教育システムの構築
Project/Area Number |
21K17218
|
Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
戸原 雄 日本歯科大学, 生命歯学部, 講師 (40468773)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | VR / ミールラウンド / 学生教育 / 新型コロナウイルス感染症 |
Outline of Annual Research Achievements |
施設で生活する摂食嚥下障害患者に対する支援は、ミールラウンドやカンファレンスの実施による効果が高いことが知られている。これまで歯科大学における訪問歯科診療や摂食嚥下障害の教育では、施設や在宅に学生を同行させ、臨床体験をさせるという方法をとっていた。しかしCOVID-19の感染拡大にともない、施設に入所している要介護高齢者は家族との面会もままならないという状況に置かれており、施設への訪問診療自体が困難になったことに加えて学生を実際に施設に帯同することが困難になった。 これらの解決策としてバーチャルリアリティー(以下VR)を用い、実際のミールラウンドならびにカンファレンスを体験できる教育システムの構築が必要であると考えるに至った。ただし、嚥下評価を行う際、食事場面の外部評価と合わせて行われる頸部聴診は、聴診器を患者の頸部に接触させ聴取するものであるため、術者が得ている情報を教育される側が直接確認することができない。 現在用いられているVRにおいても、動画の中に生体情報としての頸部聴診音を組み込んだ体験ができるシステムは存在しない。しかし、VRにおいて聴取される嚥下音や呼吸音をVR上で体験することができれば、さらにその教育効果は高いのではないかと考えた。頸部聴診は、非侵襲的であるとともに、特別な道具を必要とせず、対象者との意思の疎通がとりにくい場合でも行うことができるため極めて汎用性が高く、最も一般的な検査法である。本研究で構築したツールを用いることで実際の訪問診療の現場に赴くことなくより術者に近い形での臨床参加が可能となる。 本研究は、実際の臨床現場を体験実習させる教育システムの構築を目的とする。さらに、教育素材として動画の中に頸部聴診音を同期させることで、より臨床に近い形での実習を行うことができる教育システムを開発し、教育効果を明らかにすることを目的としている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度において、現状は実際の動画データと音声データの再構築を行っている段階だったが、現在音声データと動画データの再構築は完了し、教育用のデータは完成している。 現在は病院実習を行っている学生を対象に実際のミールラウンドの体験とVRを用いた体験実習を行っている。両実習を行った後、施設でのミールラウンド、VR実習それぞれに対して学生にアンケートを行いその結果をテキストマイニング(NTT Text Mining Studio 7.1)を用いて検討を行った。 VRのアンケートの結果として、今回のVRに関連している「音」に共起される単語を抽出したところ、「聴診器」信頼度0.92、「聞く+できる」信頼度:0.88だった。同様に歯科訪問診療実習後のアンケートの結果において関連する単語の「患者」に共起された単語として「家族」信頼度:1.0、「状態」信頼度0.92などが抽出された。 上記の通りVRにおいて一定の成果がまとまったため、令和5年6月に行われる日本老年歯科医学会においてポスター発表を行う予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在までの研究の進捗状況として、VRに関してのアンケートは音の体験が可能であることへの意見が多く、実際の歯科訪問診療実習に関してのアンケートは患者自身の状態や周囲の環境への意見が多かった。今回行ったVRにより、頸部聴診の体験が可能となったことは一定の学習効果を得ることができたのではないかと考える。一方、VRと実際の歯科訪問診療実習とアンケート結果に乖離がみられた。 これらの結果を鑑み、実際に頸部聴診の実習を行った状態であれば、頸部聴診の体験の有無という設定に関しては同様となるため、VRそのものの効果をよりよく抽出できるのではないかと考えた。 令和5年度は昨年度同様のVR実習に加え、事前に頸部聴診の実習を組み込んだうえでVRそのものの効果について検討をしていきたいと考えている。すでに令和5年度の病院実習に関しては開始しており、VR実習は8月以降の開始となることが見込まれるため、令和5年度のVR実習を行う事前準備を行っている段階である。
|
Causes of Carryover |
本年度に関して、データの集積ならびに統合に関して必要な物品の購入が一部終了していないことから次年度使用額が生じている。本来であればアンケート解析のためのソフトの購入が必要であることから、次年度は必要と思われるソフトの購入並びにデータ管理のための必要物品の購入を進めて行く予定である。
|
-
-
-
-
-
-
[Presentation] 歯科大学付属病院口腔リハビリテーション専門某クリニックでの訪問実習が歯学部生の意識に与える影響2022
Author(s)
黒田直希,山田裕之,駒形悠佳,加藤陽子,仲澤裕次郎,戸原雄,宮下大志,南ひかる,波多野朱里,田村文誉,菊谷武
Organizer
障害者歯科学会
-
[Presentation] 口腔機能低下症診断項目と摂食嚥下障害、フレイル、サルコペニアとの関連2022
Author(s)
高橋賢晃,菊谷武,戸原雄,保母妃美子,礒田友子,古屋裕康,仲澤裕次郎,田中公美,宮下大志,加藤陽子,田村文誉
Organizer
老年歯科医学会
-
-
-