2021 Fiscal Year Research-status Report
遺伝子改変マウスの涙液分泌維持メカニズムに着眼した唾液分泌不全の新治療戦略
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21K17219
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Research Institution | Asahi University |
Principal Investigator |
長瀬 春奈 朝日大学, 歯学部, 助教 (40888799)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 外分泌 / RNAシーケンス解析 / 低分子量Gタンパク質Cdc42 / 唾液分泌不全 |
Outline of Annual Research Achievements |
唾液腺の萎縮に伴う唾液分泌機能の低下は、う蝕や咀嚼、嚥下機能の低下を引き起こすため、唾液分泌機能の維持に向けた研究が社会的に求められている。申請者は、上皮細胞の形成に必須である低分子量Gタンパク質Cdc42を成体マウスの腺房細胞特異的に欠損し、唾液腺、涙腺、膵外分泌腺等の外分泌腺が萎縮するマウスを作製した。このマウスの唾液分泌量は著しく低下する一方で、興味深いことに涙液分泌量は増加傾向であった。本研究では、分泌能を失う唾液腺と分泌能を維持する涙腺を比較することで、外分泌能の維持に関わる新たな分子標的を発見することを目的する。 令和3年度は、網羅的遺伝子発現解析 (RNAシーケンス) による比較を行うため、タモキシフェンを投与しノックアウトを誘導したCdc42欠損群と、溶媒を投与した対照群の三大唾液腺 (耳下腺・舌下腺・顎下腺) および涙腺の形態と分泌機能を比較し、最適なノックアウトの条件を検討した。形態学的解析の結果、細く長いチューブ状であった腺腔構造が、ノックアウト誘導4週間経過後 (cKO4週間) に太く短い膨らみを持った構造に変化することが明らかになった。さらに、HE染色した唾液腺の腺房細胞数を定量化した結果、減少傾向にあることが示された。次に、ピロカルピン刺激後の唾液および涙液分泌量を測定した。その結果、cKO4週間で唾液分泌量の有意な減少と涙液分泌量の維持が確認された。このことから、cKO4週間の三大唾液腺および涙腺をサンプリングし、RNAシーケンスを行った。令和3年度内に解析データを得ることができたため、令和4年度は外分泌維持に関わる遺伝子の候補を選出し、性状を解析する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、Cdc42欠損群と対照群のマウス三大唾液腺および涙腺のRNAシーケンスを行い、解析データを得ることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は、得られたデータのさらなる解析を行い、分泌維持に関わる候補遺伝子を選定する。選出した因子の阻害剤を用いて、唾液・涙液分泌への関与を検証する。さらに、候補因子の性状を解析し、分泌機構を検討する。
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Research Products
(2 results)