2022 Fiscal Year Research-status Report
感染リスク共存社会を支える地域医療機関の医療提供体制の強化に向けた基盤研究
Project/Area Number |
21K17230
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
中村 晃久 自治医科大学, 医学部, 助教 (00880072)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 地域医療 / COVID-19 / 医療提供体制 / 地域相関研究 / 中山間地域 |
Outline of Annual Research Achievements |
COVID-19の感染状況は、地域の特性が関与し得る。地域特性には、医師と病床の分布、高齢者施設数、高齢化率が含まれる。日本は都道府県の単位で医療計画が策定されている。COVID-19による死亡と地域特性との関連をみるために、地域相関研究を実施した。 都道府県別のCOVID-19の罹患者数と死亡者数を公的な厚生労働省の感染者動向から得た。本研究ではCOVID-19による死亡者数をCOVID-19の罹患者数で除した値に、10,000をかけた値をCOVID-19死亡指数とした。各都道府県の病床あたりの医師数、人口10,000人あたりの高齢者施設数および高齢化率を独立変数とし、COVID-19死亡指数を従属変数として、単相関分析と多変量による重回帰分析を行った。続いて、47都道府県を人口規模で2分割して、層別解析を行った。 47都道府県のCOVID-19の死亡指数の平均は、12.7 (最小-最大:4.7-25.7)であった。単相関分析では、COVID-19死亡指数に対して病床あたりの医師数(r=-0.386; p=0.007)に負相関が、人口10,000あたりの高齢者施設数(r=0.397; p=0.006)と高齢化率(r=0.471; p=0.001)に正相関がみられた。人口下位集団での層別解析では、COVID-19死亡指数に対して病床あたりの医師数(β=-0.543; p=0.024)が負相関し、高齢化率(β=0.434; p=0.032)が正相関し、人口上位集団ではCOVID-19死亡指数と各因子との相関は弱かった。 人口規模が小さい県の集団では、COVID-19死亡に対して病床あたりの医師数に負の相関が認められ、高齢化率に正相関が認められた。この結果は、高齢化率が高く、人口規模がより小さい県で、病床機能の調整を図る必要性があることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
COVID-19の感染状況と地域特性との関連をみるための地域相関研究は解析を終え、論文投稿中である。今後は、感染症領域の地域医療の標準化に向けた研究を推進する。
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Strategy for Future Research Activity |
感染リスク共存社会を支える地域医療機関の医療提供体制の強化に向けて、地域医療の標準化(特に感染症領域)に向けた研究を推進する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の感染状況を鑑み、国際学会への参加を見送ったため、国外旅費や学会参加登録料が生じなかった。未使用額は、次年度の学会発表ならびに論文作成に必要な経費にあてる予定である。
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