2021 Fiscal Year Research-status Report
がん治療格差のある障碍を抱える人に、標準治療を届ける介入の実装を目指した基盤研究
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21K17249
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
藤原 雅樹 岡山大学, 大学病院, 助教 (20747951)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | がん / 精神障害 / 統合失調症 / 健康格差 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、重度精神障害を有するがん患者の生存期間と診療に格差があるかどうかを明らかにするための多施設共同研究に向けた予備的調査の位置づけである。当該予定対象集団における重度精神障害患者の割合を確認し、生存期間およびがん治療の質の解析に必要データの収集可能性を確認し、サンプルサイズの見積もりに資するデータを得る。多施設共同研究に向けてデータ収集方法の手順を確立することを目的とする。 令和3年度は、計画通り岡山大学病院での単施設後向きコホート研究を実施した。2011年4月1日から2013年12月31日の間に岡山大学病院で大腸がん、胃がん、肺がん、乳がん、子宮頸がんのいずれかに対する初回治療を受けた患者で、当該がんに対する入院治療を岡山大学病院で少なくとも1回以上受けた患者を対象に解析を行った。計画通り、DPCデータ及び院内がん登録のデータから、概ね予定した評価項目を収集できることが確認できた。各がん患者における精神疾患併存率は、統合失調症(ICD-10でF2)で0.2%-1.3%、全精神疾患で1.7%-8.3%であり、多施設研究に向けてサンプルサイズの見積に必要なデータが得られた。 令和3年度の研究結果をもとに、多施設共同研究に向けて岡山大学病院以外の施設でも利用可能なデータ収集手順書を作成している。大規模多施設研究に向けて、まずは2施設でのパイロット研究の計画を作成中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り、単施設後向きコホート研究を実施し、データ収集の可能性を確認し、多施設共同研究に向けてサンプルサイズ見積りに必要な知見を得ることができた。速やかに研究を進めることができたため、今後予定する大規模な多施設研究の計画に向けて、より研究を精緻なものとするために、事前に2施設でのパイロット研究を計画することにした。令和3年度の研究結果を踏まえて多施設用のデータ収集手順書を作成し、まずは2施設でその実施可能性をみるパイロット研究を令和4年度中に実施予定としている。その結果を踏まえて、大規模多施設研究の研究計画を作成する。
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Strategy for Future Research Activity |
多施設用のデータ収集手順書の作成が、今後の研究にとって重要である。そのため、院内のがん登録室、診療情報管理室からフィードバックを受けて作成し、さらに他施設からもフィードバックを受けて一般的な病院で使用できるものとする。大規模な多施設後向きコホート研究の計画について、複数の専門家からアドバイスを受ける体制を確保している。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの流行のため、情報収集や打ち合わせのための旅費等の繰り越しが生じたが、研究計画は予定通り進捗している。 令和4年度は、2施設での後向きコホート研究計画を実施、大規模な多施設研究の計画書を作成する。予定通り解析に必要な物品、研究打ち合わせ及び成果発表の旅費、英文校正費等に支出する予定である。
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