2023 Fiscal Year Research-status Report
免疫学的手法を用いたアスピリンによる大腸がん予防の機序解明
Project/Area Number |
21K17273
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Research Institution | National Center for Child Health and Development |
Principal Investigator |
中尾 俊雅 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 臓器移植センター, 専門修練医 (30829320)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | がん予防 / 家族性大腸腺腫症 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで大腸がん予防研究において、抗炎症剤であるアスピリンなどを用い炎症などのプロモーター作用を制御する方法の研究が行われてきたが、免疫学的なアプローチによるがんの制御の研究はほとんど行われてこなかった。近年、免疫抑制細胞が、大腸がんの高危険疾患である家族性大腸腺腫症(FAP)のモデルマウス(Minマウス)の腸ポリープ産生に重要な役割を果たしている可能性が示された。そこで本研究では、アスピリンが免疫抑制細胞を制御することにより、腸ポリープ産生を制御するという仮説を立てた。まず、Minマウスにおける免疫抑制細胞及び腸ポリープ産生の関連を詳しく解析した。次に、家族FAP患者のパラフィンサンプルや超音波所見などを用いてMinマウスで得られた知見が、ヒトにおいて確認できるか実証した。 Minマウスによる実験では、主に体内で循環している免疫細胞が、Myeloid-derived suppressor cells(MDSCs)であることが確認された。また脾臓摘出したMinマウスでは免疫抑制細胞の除去が起こり、ポリープ産生が抑制されることが確認された。 現在Minマウスのポリープに対する多重免疫染色を実施しており解析結果待ちである。 FAP患者では健常人と比較して脾腫が増悪することが証明できた。患者サンプルにおける免疫抑制細胞の同定する実験を予定している。またポリープ数と脾腫の増悪の相関性を解析中である。 現在の知見でも新規性が高いデータであるが、現在解析中のデータも併せて論文化する予定としている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Minマウスによる実験では主に体内で循環している免疫細胞がMyeloid-derived suppressor cells(MDSCs)であることが確認された。また脾臓摘出したMinマウスでは免疫抑制細胞の除去が起こり、ポリープ産生が抑制されることが確認された。 現在Minマウスのポリープに対する多重免疫染色を実施しており解析結果待ちである。 FAP患者では健常人と比較して脾腫が増悪することが証明できた。患者サンプルにおける免疫抑制細胞の同定する実験を予定している。またポリープ数と脾腫の増悪の相関性を解析中である。 現在の知見でも新規性が高いデータであるが、現在解析中のデータも併せて論文化する予定としている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究課題の推進方策としては①Minマウス②FAP患者に対する実験計画が異なるため以下に記載する。 ①・腸管ポリープの免疫細胞に対する多重染色・免疫細胞のin vitro機能解析。具体的にはリンパ球交差試験による機能評価。 ②・血液サンプル内の免疫抑制細胞、特にMDSCsの同定・同定できた免疫細胞の機能解析。具体的にはリンパ球交差試験による機能評価。・患者ポリープ数と脾腫の相関性の解析・患者ポリープの多重免疫染色。 研究を遂行する上での課題としては患者サンプルの採取が困難であることであるが、順次解析をすすめる予定としている。
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Causes of Carryover |
以下の実験実験の進捗に研究費が必要になり次年度使用額が生じた。①Minマウス②FAP患者 ①・腸管ポリープの免疫細胞に対する多重染色・免疫細胞のin vitro機能解析。具体的にはリンパ球交差試験による機能評価。 ②・血液サンプル内の免疫抑制細胞、特にMDSCsの同定・同定できた免疫細胞の機能解析。具体的にはリンパ球交差試験による機能評価。・患者ポリープ数と脾腫の相関性の解析・患者ポリープの多重免疫染色。
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