2022 Fiscal Year Research-status Report
子宮頸部におけるHPV遺伝子型特異的細胞の同定による上皮内病変進展予測への応用
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21K17274
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Research Institution | Gunma Paz University |
Principal Investigator |
岡山 香里 群馬パース大学, 医療技術学部, 准教授 (10780116)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | human papillomavirus / 子宮頸部細胞診 / 子宮頸がん検診 / 子宮頸部上皮内病変 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトパピローマウイルス (Human Papillomavirus; HPV) は、子宮頸部上皮内腫瘍やコイロサイトなどの形態学的変化を引き起こす。これらの細胞変化とHPV遺伝子型との関連性を明らかにするためには、単一細胞からHPV-DNAを検出する必要がある。私たちは子宮頸部標本の単一異型細胞からHPV-DNAを検出するため、manual microdissection (MMD) 法を開発した。さらにUniplex E6/E7 PCR法にて39種類のHPV遺伝子型を網羅的に解析した。私たちはこれらの手法を用い、コイロサイトの形成に16,18,52型が関与しないことに加え、多核細胞の形成に16, 34, 56型が関与することを証明した。 2022度はMMD法によるHPV-DNA検出率向上のため詳細な手順の検討を行った。その結果、乾燥標本から採取する場合は顕微鏡下で簡単に単一細胞を可視化できDNA抽出液に容易に溶解したが、湿潤標本では可視化が困難でありDNA抽出液への溶解は前者に比較して困難であった。また、標的細胞が近接している場合はコンタミネーションを防ぐため湿潤標本が適していることが示唆された。 加えて2022年度ではHPV感染細胞である二核細胞、異角化に着目してHPV遺伝子型を包括的に解析した。対象は液状検体細胞診(Liquid based cytology; LBC)で意義不明な異型扁平上皮細胞以上と判定された651症例である。LBC材料を用いてuniplex E6/E7 PCR法を実施し、HPV遺伝子型を同定した。また、パパニコロウ染色標本を作製して二核細胞、異角化を検出し、塗抹標本上の二核細胞をMMD法にて採取し、DNA抽出およびuniplex E6/E7 PCR法を行い、二核細胞のHPV遺伝子型を同定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
HPV感染細胞に存在するHPV遺伝子型の網羅的解析に関して、多核細胞はすでに解析済みであり2021年度に論文として報告している。他のHPV感染細胞とHPV遺伝子型との関連性は二項間ロジスティック解析まで終了していたが、関連する遺伝子型が多く、manual microdissection (MMD) 法の対象細胞が予想より多かった。そのため、異角化における遺伝子型解析が終了していない。以上により、研究の進捗状況はやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
異角化に対するmanual microdissection (MMD) 法およびuniplex E6/E7 PCR法を実施して特定のHPV遺伝子型への関与の有無を調べる。HPV感染細胞に存在するHPV遺伝子の網羅的解析が終了し次第、2023年度に論文投稿する予定である。この研究に関しては、子宮頸がん検診において細胞診検査で新たな付加的情報を提供するため、解析検体数を増やす予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症蔓延によってThe 34nd International Papillomavirus Conference に参加できなくなったため、研究経費の使用計画と実際の使用額に差異が生じた。2023年度にThe 35nd International Papillomavirus Conferenceに参加するため次年度使用額が生じた。 上記に加えて、2023年度は解析検体数をさらに増やしてMicrodissetion法およびuniplex E6/E7 PCR法を実施する予定である。
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