2022 Fiscal Year Research-status Report
感作性物質o-フタルアルデヒドの職業性曝露限界値の導出と曝露低減対策
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21K17279
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
山本 忍 産業医科大学, 産業保健学部, 助教 (70761469)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | o-フタルアルデヒド / 職業性ばく露限界値 / ばく露低減対策 / 感作性物質 / リスク評価 / 産業衛生学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、医療機関で内視鏡等医療機器の消毒剤として利用され、取扱い作業者に目や呼吸器の刺激、皮膚炎、呼吸器感作性等の健康障害が報告されたオルト-フタルアルデヒド(OPA)製剤取り扱い作業者のOPAばく露濃度と健康影響の関係を明らかにすること、医療機関に適したばく露低減対策を確立することである。現在、OPAの職業性ばく露限界値は日本では勧告されておらず、米国産業衛生専門家会議が2019年に0.1 ppbと極めて低濃度の値を勧告した。したがって、日本においては、0.1 ppbを管理レベルとしたばく露低減対策が必要となる。しかしながら、OPAのばく露濃度と健康影響の関連を調査した報告は少ない。また、従来の特別則に基づく局所排気装置では多くの医療機器が混在する医療機関ではその設置は現実的ではない。 令和3年度は、ばく露低減対策として新たな排気装置のOPA分解効果を検証するための低濃度OPAガスの安定的な連続発生法を確立した。 令和4年度は、OPA製剤取り扱い作業者のOPAばく露濃度と健康影響の関連を見るためのフィールド調査行った。また、1事例ではあるがTLV-Cに対応したばく露低減への取り組みを行い、良好な作業環境を確保するための知見が得られた。令和5年度も引き続き調査を継続する予定である。なお、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、調査医療機関の確保が遅れている。この点は、作業環境測定機関等に広く打診し、また産業医等を通じて取扱い医療機関へ調査協力を打診している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
フィールド調査については、予定していた対象者の約1/5程度のデータ数となっており、解析のためにはやや対象者数が少ないため、引き続き調査事業所の確保を行っている。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、医療機関の確保に時間を要しており、やや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に従い、分解装置の効果検証および現在集積しているデータの解析を行う。フィールド調査については予定していた対象者の約1/5程度のデータ収集ができているが、解析のためにはやや対象者数が少ないため、引き続き調査事業所の募集を幅広く行い、継続して行う。
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Causes of Carryover |
R4年度に計画していたフィール度調査は大学近隣の医療施設で実施したため、調査旅費の使用がなかったため。 R5年度は、フィールド調査での測定および分析に係る物品、人件費、調査旅費等に使用する。
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