2021 Fiscal Year Research-status Report
芳香族炭化水素受容体活性検出法を用いた繊維製品中有害物質スクリーニング法の確立
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21K17281
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Research Institution | Kanagawa Prefectural Institute of Public Health |
Principal Investigator |
西 以和貴 神奈川県衛生研究所, 理化学部, 主任研究員 (80761882)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 繊維製品 / 有害物質 / スクリーニング / 芳香族炭化水素受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、機能性を有する繊維製品は増加している。加工に使用される化学物質の種類も増加していると考えられ、その安全性評価の遅れが懸念される。 本研究の目的は、繊維製品中の化学物質の迅速な安全性評価のために、生物学的手法を用いた有害物質のスクリーニング法を確立し、その有用性を示すことである。生物学的手法としては、発がんやアトピー性皮膚炎との関連が報告されている芳香族炭化水素受容体(AhR)活性検出法を検討する。また、確立した活性検出法で市販製品を調査し、さらに活性の要因となる化学物質の同定をLC/Q-TOF-MS等の機器分析により行う計画である。 令和3年度はヒト肝がん由来細胞株であるHepG2細胞を用いたAhR活性検出法を検討した。当初はHepG2細胞にAhR応答性ルシフェラーゼ遺伝子を組み込んだ細胞を用いる予定だった。しかし、この方法は比較的高額な試薬を必要とするため、より安価なAhR検出法を用いることとした。具体的には、AhR活性化で誘導される代謝酵素CYP1Aの活性を検出する方法である、7-ethoxyresorufin-O-deethylase(EROD)法について検討を行った。このEROD法はルシフェラーゼ遺伝子を用いた方法より感度が低く、必要とする操作も多い。しかし、この方法で繊維製品中のAhR活性化物質を十分に検出可能だったことから、スクリーニング法として有効であることが分かった。 次に、実際に市場に流通している繊維製品10製品の抽出を行い、そのAhR活性能を測定した。その結果、3製品から活性が検出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定どおり、繊維製品抽出物のAhR活性を検出する方法を確立することができた。また、市場に流通している繊維製品3製品から高いAhR活性が検出され、本法の有用性を示すデータが得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度確立したAhR活性検出法を用いて、さらに多くの繊維製品について検討を行う。また、AhR活性が検出された繊維製品抽出物をクロマトグラフィー等により分画し、AhR活性に起因する化学物質の同定を試みる。
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Causes of Carryover |
申請当初に予定していた方法よりも安価な方法で研究が実施できるようになったため、次年度使用額が生じた。この次年度使用額は検討サンプル数を増やし、より充実した研究データを得るために使用する。また、昨今の海外製品の値上げに対する補填にも用いる。
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