2022 Fiscal Year Research-status Report
地域集団におけるアルコール代謝遺伝子を考慮した過量飲酒と骨格筋量減少の関連の検証
Project/Area Number |
21K17291
|
Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
大西 修平 和歌山県立医科大学, 保健看護学部, 博士研究員 (80899526)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 筋肉量 / 肝繊維化 / 飲酒 / アルコール代謝遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度では和歌山県内の町村において、住民を対象に健康診断を実施した。健康診断において主要な測定項目である筋肉量検査、血液検査、アルコール代謝遺伝子検査、および飲酒や生活習慣に関する問診等を滞りなく実施した。 当研究の最終的な目的は、アルコール代謝遺伝子を考慮した過量飲酒と肝臓の繊維化が、骨格筋量減少に及ぼす影響を明らかにすることである。筋肉量減少の予防は将来の寝たきりやADLの低下を防ぐにあたり、きわめて重要な課題である。 対象者をアルコール代謝遺伝子ごとにグループを分け、それぞれの群ごとに過量飲酒と肝臓の繊維化が骨格筋量に及ぼす効果量を分析している。現時点の解析結果では、アルコール代謝遺伝子型のうちアセトアルデヒド代謝能力が高い群において、日常的にアルコールを多飲しており、その結果筋肉量が低くなる傾向を示している。すなわち飲酒によって顔が赤くなりにくい者たちは一見すると飲酒が身体に悪影響を与えていないように見えるが、実際には筋肉量減少を招いている可能性が示唆された。さらにアセトアルデヒド代謝能力が弱く、顔が赤くなりやすい群については、過量飲酒をする者は多くないものの、肝の繊維化をきたしている者はやはり骨格筋量が減少している傾向が示されている。 今後の解析の方針として、対象者を飲酒者に限定した解析により、アルコール摂取の影響をより鮮明に抽出することを予定している。さらに縦断データとして連結可能な者については、筋肉量の経年変化について分析予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当年度では計350名分のデータを取得した。想定していた健診受診者のほぼ全症例を有効対象者とできたため、データ収集の進捗としてはおおむね順調である。
|
Strategy for Future Research Activity |
2023年度においても和歌山県内の市町村において住民健診を実施予定である。データの集積をつづけ、横断データの解析結果について学会等を通して発表予定である。さらに同一の検診受信者のデータの連結をすすめ、縦断的な解析についてもすすめていく。また、解析対象者を飲酒歴のあるものに限ったサブ解析もすすめる。
|
Causes of Carryover |
研究初年度に研究環境整備のための費用を概ね執行していたため、2022年度は調査費用の執行のみとなった。次年度は学会発表、論文執筆にかかわる費用の執行を見込むため、差額は次年度に使用予定となった。
|