2023 Fiscal Year Research-status Report
地域集団におけるアルコール代謝遺伝子を考慮した過量飲酒と骨格筋量減少の関連の検証
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21K17291
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
大西 修平 和歌山県立医科大学, 保健看護学部, 博士研究員 (80899526)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 筋肉量 / サルコペニア / 肝機能 / アルコール代謝遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度においても和歌山県内の町村にて、住民を対象に健康診断を実施した。健康診断において主要な測定項目である筋肉量検査、血液検査、アルコール代謝遺伝子検査、および飲酒や生活習慣に関する問診等を実施した。 当研究の最終的な目的は、アルコール代謝遺伝子を考慮した過量飲酒と肝臓の繊維化が、骨格筋量減少に及ぼす影響を明らかにすることである。筋肉量減少の予防は将来の寝たきりやADLの低下を防ぐにあたり、重要な課題である。対象者をアルコール代謝遺伝子ごとにグループを分け、それぞれの群ごとに過量飲酒と肝臓の繊維化が骨格筋量に及ぼす効果量を分析している。現時点の解析結果では、アルコール代謝遺伝子型のうちアセトアルデヒド代謝能力が高い群において、日常的にアルコールを多飲しており、その結果筋肉量が低くなる傾向を示している。すなわち飲酒によって顔が赤くなりにくい者たちは一見すると飲酒が身体に悪影響を与えていないように見えるが、実際には筋肉量減少を招いている可能性が示唆された。さらにアセトアルデヒド代謝能力が弱く、顔が赤くなりやすい群については、過量飲酒をする者は多くないものの、肝の繊維化をきたしている者はやはり骨格筋量が減少している傾向が示されている。 ただしアセトアルデヒドの代謝能力が弱いが、日常飲酒している者は多くなく、解析強度を担保するにはさらなる対象者数を確保する必要がある。また、男性に比べて女性は日常飲酒している者が非常に少なく、本研究の解析対象者は男性に限定する必要も出てきている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年も住民の健康診断を実施し、研究に必要なデータを得た。現在は集積したデータの整理、解析を順次すすめている段階にある。2022年までのデータについては横断解析をほぼ終えており、これに次年度のデータを足して解析強度を上げていく。前年度に比べ研究者の臨床業務の繁忙化により、データの整理はやや遅れている現状である。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度においても和歌山県内の市町村において住民健診を実施予定である。データの集積をつづけ、横断データの解析が終了し次第、学会等を通して発表予定である。データの連結が可能な者の抽出をすすめ、縦断的な解析についてもすすめていく。
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Causes of Carryover |
データの整理、解析の遅れにより、当初見込んでいた学会発表関連の費用、論文執筆に関連した費用を次年度に繰り越す形となった。
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