2021 Fiscal Year Research-status Report
テレワークが労働者の身体的・精神的健康に与える影響についての総合的疫学研究
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21K17293
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
大塚 雄一郎 日本大学, 医学部, 助教 (40748399)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | テレワーク / プレゼンティーズム / メンタルヘルス / QOL |
Outline of Annual Research Achievements |
働き方改革の実現や新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の流行により、働き方としてのテレワークの重要性が認識されている。急速なテレワークの普及により、健康障害に関する報告が散見される。これまでのところテレワークと健康に関する叙述的なレビューはあるものの、系統的な検討は行われておらず、本邦においてはテレワークによる健康への影響は明らかになっていない。本研究では1)縦断研究でどのような勤務形態が健康障害の予防に有効であるかを明らかにする。2)プレゼンティ-ズムからテレワークによる企業の健康損失が発生するかを明らかにする。3)複数の文献データベースを検索してテレワークと健康障害に関する系統的レビューを行い、健康に関するテレワークの長所と短所を明らかにすることを主要な目的とした。 令和3年度は以下の手順で研究を実施した。 (1)研究計画書の倫理審査委員会への申請・承認を得た。 (2)対象企業への調査依頼および実施:関東圏の情報通信業、機器販売業、医薬品卸売業の計4社で約15000名を対象として、ベースライン調査を実施した。調査内容はテレワークの実施状況(頻度、勤務場所、自律性、柔軟性)、業務内容、労働時間・休暇の取得状況、健診データによる生活習慣病の有無などの健康関連指標、メンタルヘルス・QOL指標、プレゼンティズム、家族形態と生活習慣である。労働者が所有する電子端末からwebフォームに回答してもらう。回答率を上げる目的で、回答者の10%を無作為抽出し、ギフト券を贈呈することにしていたため、当選者の無作為抽出や送付作業を行った。 (3)系統的レビュー: まずは叙述的なレビューを参考に検索式を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
COVID19の蔓延によりベースライン調査の実施時期が想定より遅くなったことおよび協力企業の参加が少なくなったが、目標とした3000件のサンプルサイズを確保することができた。ベースライン調査の統計解析に関してはすでに実施し始めている。レビューについては検索式を検討し、文献抽出を行う前段階までは進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は以下の手順で進める予定である。 (1)ベースラインの統計解析の続き:各質問項目より基礎統計表を作成し、健康指標とテレワークとの関連について解析し、産業衛生学会や睡眠学会で発表を行う予定である。また、協力企業への結果報告を実施予定である。 (2)系統的レビュー:抽出文献をまとめ、バイアスを評価しながら分析・統合を行う。
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Causes of Carryover |
Web回答システムについては、ベースライン調査とフォローアップ調査の2回分の調査システムを見積もり時で算定したが、同じシステムを継続して使用する方が全体のコストを圧縮することができることや調査票の再利用ができることが判明した。そのため、年度ごとにシステム使用料を支払う方針に変更し、今年度はシステム使用料が想定より少ない金額になった。また、調査回答人数が想定よりも下回ったため、謝礼の金額が少なくなったことにより、今年度の使用額は少なくなった。海外大学の図書館の使用ができなくなったため、次年度に文献検索サイトの使用料を見込んでいる。
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