2021 Fiscal Year Research-status Report
低・中所得国の保健人材の質向上を目指した研修における効果評価研究
Project/Area Number |
21K17320
|
Research Institution | National Center for Global Health and Medicine |
Principal Investigator |
松岡 貞利 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 上級研究員 (60817617)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 保健人材 / 持続可能な開発目標(SDG2) / 継続研修 / 研修効果 / 効果判定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、低中所得国の保健人材が、卒後の継続研修で学んだことの実践レベルでの効果を評価し、効果に影響を与える要因と要因間の関連性、および要因の背景を明らかにすることを目的にしている。
健康関連の持続可能な開発目標(SDGs)を達成するためには、保健人材の適正な人数と質(適正な知識や技術)の担保が不可欠でる。保健人材の質の向上には、大学や専門学校等における卒前教育のみならず、卒後の継続教育が必要である。特に低・中所得国の保健医療分野では、非常に多くの様々な継続研修が、世界保健機関(WHO)や日本の国際協力機構(JICA)などの国際援助機関(以下、援助機関)の支援のもと実施されている。しかし、これらの研修は、実施するだけで終わってしまいがちであり、本来重要な研修の効果を科学的に検証した先行研究は、世界的にも見当たらない。保健人材の質は、特に保健人材自体が非常に少ない低・中所得国においては、国民の健康に大きな影響を及ぼすこともあり、継続研修の効果と、効果に影響を与える要因やその背景を科学的に分析し、エビデンスに基づいた提言を示すことは、世界の人々の健康の実現に非常に大きなインパクトを与えるといえる。
今年度は、まず研修効果を評価する際に利用する質問票の開発に取り組んだ。先行研究をもとに質問票を完成させ、その質問票を調査対象国であるラオス、モンゴルの言語へ翻訳した。また現地に在住する研究協力者とたびたび面談を行い、両国内で行う倫理審査に必要となる書類の作成にも取り組んだ。現在、日本国内の倫理審査を終え、現在モンゴル国内では保健省内での審査に入っている。ラオスでは、ラオスでもまもなく倫理審査を開始する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は、初年度に研修効果を評価する際に利用する質問票を完成させ、実際に現地に赴いて評価を実施する予定であった。しかし新型コロナウイルスの世界的感染拡大を受け、対象国への渡航が制限されるようになったこともあり、現地での評価の実施が現実的ではなかった。
また対象国での倫理審査が、想定以上に遅れている。対象国内の研究協力者とは密に連絡を取ってはいるものの、倫理審査担当者が保健省内の行政官であるため、新型コロナ感染症への対応を迫られ、十分な時間を確保できなかったようである。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度は、初年度に実施する予定であった量的分析にまず取り組む予定である。またその量的分析の結果から、インタビューによる調査を後ほど実施することを検討している。
研修効果に影響を与える要因の背景を明らかにすることを目的に、半構造化質問票を用いたフォーカスグループまたは個人面接を通して質的データを収集する。これらの面接は、日本人研究者1名、日本人研究者からトレーニングを受けた現地調査員2名が実施する。現地調査員の1人目は質問係、2人目が日本人研究者のための同時通訳とする。日本人研究者は記録をとりながら適宜補足質問を行う。面接内容は対象者の同意を得て録音する。新型コロナ感染症等で海外渡航が困難な場合は、オンラインによる面接に切替え、現地調査員の代わりに、日本において通訳が可能な外国人留学生等を雇用し、実施する。
|
Causes of Carryover |
当初は、初年度に研修効果を評価する際に利用する質問票を完成させ、実際に現地に赴いて評価を実施する予定であった。しかし新型コロナウイルスの世界的感染拡大を受け、対象国への渡航が制限されるようになったこともあり、現地での評価の実施が現実的ではなかった。
年度は、初年度に実施する予定であった量的分析にまず取り組む予定である。またその量的分析の結果から、インタビューによる調査を後ほど実施することを検討している。
|