2022 Fiscal Year Research-status Report
Physiological significance of cortisol during cold exposure and its application as a diagnostic marker for Hypothermia
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21K17327
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
池田 知哉 佐賀大学, 医学部, 教授 (10620883)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | コルチゾール / 凍死 / ACTH / 胃粘膜病変 |
Outline of Annual Research Achievements |
寒冷暴露(凍死)は特徴的所見に乏しく判定が困難な症例も多い.凍死を示唆する血液検査所見としてケトン体の上昇が報告されているが,低栄養でもケトン体は上昇し,低栄養と寒冷暴露の鑑別に適さず,新しい検査法が求められている.これまで我々は,寒冷暴露時にACTH(adreno corticotropic hormone)の分泌細胞が出現することを明らかにした.この所見から,副腎皮質におけるコルチゾールが変化することが予測される.本研究では,「寒冷暴露に伴うコルチゾールの病態生理学的意義」を調べ,コルチゾールの動態が寒冷暴露の診断マーカとなり得るか明らかにし,法医学上の凍死診断の一助とすることを本研究の目的とした. 令和3年度においては,ACTHの上昇に伴うコルチゾールの上昇が予測されることから,各血液採取部位(左心臓内血液・右心臓内血液・総腸骨静脈血液)におけるコルチゾールの変化について調査を行った.凍死と判断された症例群においては,他死因群と比較して明らかにコルチゾール高値の結果が得られた.また,ACTHとコルチゾールの値には明らかな相関性は認められないことを明らかにした。ただし,本結果は,ACTHが分泌され副腎に作用しコルチゾールが増加するまでの時間差や半減期等を考慮すると,ACTHとコルチゾールの関係性についてが否定できるものではないことから,コルチゾールの変化がACTH刺激に伴うものなのか,副腎への寒冷暴露ストレスに伴う単独産生であるのかを培養細胞を用いて明らかにできるように検討を進めた。 令和4年度においては引き続き培養細胞を用いた検討を進めた.さらに,コルチゾールの変化が胃粘膜の変化に関与するのかを明らかにするため免疫染色を施行し検討を進めた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和3年度に研究することを計画していた各血液採取部位(左心臓内血液・右心臓内血液・総腸骨静脈血液)におけるコルチゾールの変化について調査を施行した. 令和4年度には引き続き生化学的検討を進めるとともに,寒冷暴露時にコルチゾールが上昇する傾向が,ACTH刺激に伴うコルチゾールの変化か,副腎への寒冷暴露ストレスに伴う単独産生であるのかを培養細胞を用いて検討し,培養細胞上では単独産生が考えられることを明らかにした. また,コルチゾールの変化が胃粘膜の変化に関与するのかを明らかにする(令和4年~5年)検討を現在計画通りに進行しており,概ね順調である.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,コルチゾールの変化が凍死症例で比較的特徴的な所見である胃粘膜の黒色点状出血変化に関与するのかを明らかにする(令和4年~5年)研究を推進する予定である.
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Causes of Carryover |
免疫染色実験を一部次年度に行う予定にしたため、各種抗体等の消耗品購入費として次年度使用額が生じた。
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