2021 Fiscal Year Research-status Report
経管栄養患者の栄養状態と味・視・嗅覚刺激の関連の検証-糖代謝に注目して
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21K17333
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Research Institution | Nayoro City University |
Principal Investigator |
長谷部 佳子 名寄市立大学, 保健福祉学部, 教授 (30302871)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 経管栄養 / 栄養状態 / 意識レベル / 味覚刺激 / 視覚刺激 / 嗅覚刺激 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度の研究実施目標は、健常な被験者を対象として糖質摂取に着目した非侵襲的経管栄養モデルを進化させることであった。令和3年度以前は、胃内容物の消化・吸収状態を推測するために、安静時代謝量の測定や唾液分泌量、意識レベル代わりの瞳孔反射測定などを実施していた。しかし、これらの計測項目は消化・吸収の間接的な指標にすぎないという限界があるため、ポータブル式の超音波エコー装置を使用して胃内容物の排出状況を追跡できないかと考えたのである。科学研究費補助金を受けたことで、ポータブル式超音波エコー装置の購入が可能になり、令和3年度はエコーの使用方法の習熟に最も多くの時間を費やした。その理由は、胃内容物の排出状況を調べるためのエコーの使用は実際にはまだ普及しておらず、胃およびその周辺臓器での使用に長けた専門技師に付いて操作技法を学ぶ必要があったためである。しかし、エコーによる胃内容物の排出状況を把握できる目処が付いたため、持続間質液中糖濃度の計測と組み合わせることで、糖質の消化・吸収状態の判断に関する精度を高めていけそうである。 コロナ禍のため、カプセル摂取とはいえ対面での喫食を伴う実験は控えざるを得ず、令和3年度は自身を被験者とした予備実験を通じて、実験手法の精度を高めるための整備を行って来た事情がある。また、過年度に収集して未分析であった味覚刺激時の瞳孔反射データについて解析を試みた。所感としては、瞳孔反射も喫食時の計測データとして加えた方が良さそうである。令和4年度に向けての課題としては、試験食である粉末チョコレートの大量作成とカプセルへの充填方法の効率化、劣化防止が挙げられる。地元企業等の協力も得ながら本格的な実験に臨んでいく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
被験者の生体侵襲が少ない計測方法を確立するためにポータブル式超音波エコー装置の導入を図ったが、当初考えていたよりもポータブル式超音波エコー装置の胃内容物の排出を判断する技法は確立されていないことが判ったためである。あらゆる成書に当たって知見を得るべく努力をした。また、エコー装置の開発メーカーにも講義を依頼して体得に努めたが、独学での技術習得は非常に困難であった。最終的には、胃やその周辺臓器へのエコープローブの操作と画像読解の経験に長けた専門技師を探し出して、操作技法をマンツーマンで学ぶ機会を設ける必要があった。専門技師を探すことにも時間を要したほか、現在もエコー装置の操作技法の習熟に時間がかかっている。それは、エコープローブの操作技法と読解は、被験者として協力して下さる他者がいることで習熟できるものあり、自身の腹部にプローブを当てて見える画像は全くことあるためである。 2つめには、コロナ禍での感染予防を徹底する見地からは、対面で学生を対象にした喫食を伴う実験が行いにくい状況にあったためである。研究室(実験室を兼ねる)への学生等の入室は、現在も時間的制約と人数制限がある。
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Strategy for Future Research Activity |
研究室への学生等の入室制限がなくなり次第、被験者を募って本実験を開始していく予定である。実験方法に関しては当初申請していた研究実施計画を改善して臨むこととする。新たな課題としては、チョコレートの粉末化とカプセル充填の効率化、さらにチョコレートが充填されたカプセルの劣化防止と保存が挙げられる。研究者単独で四季を問わずにこれらの作業を行うのは難しい部分もあるため、実験補助者の確保など対策を講じていく。
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Causes of Carryover |
物品費が予定よりも多く支出したものの、その他費用の支出が少なかったため、残額が生じている。この分は、令和4年度の人件費・謝金に充てていく予定である。
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