2022 Fiscal Year Research-status Report
院内感染の要因となる清拭タオルの新たな衛生管理方法の確立
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21K17339
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
金坂 伊須萌 東邦大学, 看護学部, 助教 (50758183)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 細菌 / セレウス菌 / 医療関連感染 / 衛生管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、医療施設において使用される清拭用タオルが、どのような過程を経てセレウス菌により汚染されるのかを実験的に明らかにし、清拭タオルの細菌汚染 を原因とする院内感染対策を目的とした、適切な清拭タオルの除菌方法を確立することを目指す。 本年度、保管中のタオルにおける生菌数の変化および汚染タオルの洗濯や各種除菌法による除菌効果を検討した。新品および2, 4, 6ヶ月間繰り返し使用した綿タオル(再生タオル)に、過去に清拭タオルから分離したセレウス菌を接種し、乾燥状態で室温保存、湿潤状態で室温保存、湿潤状態で55℃保存にて保存し、72時間後までの生菌数を求めた。また、セレウス菌を付着させた再生タオルを洗濯、80℃で10分間の熱処理、250 ppm次亜塩素酸ナトリウムによる5分間の処理の各除菌処理後の生菌数を求めた。その結果、新品および全ての再生タオルにおけるセレウス菌の生菌数は、各タオルを乾燥状態で室温保存、および湿潤状態で55℃保存した場合、72時間後まで大きな変化を認めなかった。一方、湿潤状態で室温保存した場合、新品タオルで生菌数は増加しなかったが、再生タオルでは使用期間に関わらず、72時間後に約4 logCFU/sheetから約8 logCFU/sheetに増加した。また、洗濯、熱処理、次亜塩素酸ナトリウムによる除菌では、約4 logCFU/sheetから、各除菌処理後にも約3 logCFU/sheetのセレウス菌が残存した。 再生タオルに付着させたセレウス菌は、乾燥状態や55℃の条件下においても減少せず、湿潤状態で室温に置かれた場合に顕著に増加した。また、医療法で示されている洗濯と除菌方法は、タオルに付着するセレウス菌に対しては有効ではない可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和4年度において、保管中のタオルにおける生菌数の変化について検討が概ね計画通り終了した。現在、汚染タオルの洗濯や各種除菌法による除菌効果を検討する段階に入っている。
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Strategy for Future Research Activity |
計画通り、一般的に行われている清拭タオルの除菌方法によるセレウス菌の除菌について検討し、清拭タオルの適切な衛生管理方法を考察する。
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