2022 Fiscal Year Research-status Report
臨床対応能力向上を目指した対話リフレクションプログラムの構築
Project/Area Number |
21K17346
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
奥田 玲子 鳥取大学, 医学部, 准教授 (40632930)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | リフレクション研修 / 研修評価 / リフレクション能力成長実感 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、看護師の臨床対応能力向上を目指した、対話リフレクションプログラムを構築することを目的とする。本研究の課題は、次の3つである。(1)リフレクションを促進する有用なファシリテーションの特徴を記述し、ALACTモデルを用いた対話リフレクションプログラムを考案する。(2)考案した、試作版対話リフレクションプログラムを実施する。(3)対話リフレクションによるリフレクション能力の発達、その後の看護に対する認識および実践を評価し、よりよい対話リフレクションプログラムを提示する。 令和3年度に改訂したリフレクションシートには、自己への探究を通じて自分の強みや弱み、看護に対する信念に気づき、よりよい看護実践に向けた課題を見出すためのステップが含まれている。令和4年度は、課題(1) ALACTモデルを用いた対話リフレクションプログラムの考案に向けて、改訂版のリフレクションシートを用いてリフレクション研修を実施し、研修評価を中心に研究を進めた。具体的には、A病院看護部令和3年度リフレクション研修受講者を対象にフォローアップ・アンケート調査を実施し、実践現場におけるリフレクション活用の実態とリフレクションの促進要因を明らかにした。また、研修効果として、リフレクション能力の成長実感を評価した。その結果、看護の仕事に対する志向性および支援を受けやすい職場環境は、研修での学びを実践しようとする意志や実践することを促進し、その実践効果によってリフレクション能力の成長実感を高めることが示唆された。リフレクションを促進する有用なファシリテーションについては、実用的なリフレクション支援の方法を探るため、リフレクションの支援をする側、支援を受ける側の双方にインタビュー調査を計画した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和4年度は、課題(1) ALACTモデルを用いた対話リフレクションプログラムの考案に向けて、リフレクションを促進する有用なファシリテーションの特徴を明らかにする計画であった。予定通り、研修受講者を対象にフォローアップ・アンケート調査を実施できたが、新型コロナウイルス感染症の対応で臨床現場の業務が多忙であったため、アンケート回答期限を延長した。それに伴い、データ入力、データクリーニングに時間を要し、当初予定していた解析開始時期に遅れが生じた。また、感染拡大により看護師の業務負担が増加していたため、インタビューによる研究を進めることが困難であった。令和5年度は、倫理審査承認後、インタビューの協力依頼、調査を行う予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究課題において構築するプログラムは、看護師が主体的かつ継続的にリフレクションできる思考の枠組み、リフレクションを促進する有用なファシリテーションの方法を提供する予定である。令和5年度は、課題(1) ALACTモデルを用いた試作版対話リフレクションプログラムの考案に向けてインタビュー調査を実施し、自己への新たな気づきをもたらす契機となったファシリテーターの具体的なかかわりやファシリテーターとしての工夫点・困難点に関する意見をもとに、ファシリテートガイド等を検討する。インタビュー調査の実施にあたっては、A病院看護部に協力依頼の手続きをとり、インタビューを実施するための環境調整を行う。また、令和4年度リフレクション研修の一環として行ったアンケートを使用して後方視的観察研究を行い、研修プロセスにおける学びに影響を与える要因と研修効果およびリフレクション能力成長実感との因果関係、研修での学びの活用による看護実践の変化を明らかにする。
|
Causes of Carryover |
令和4年度は、参加を予定していた学会やセミナー等がオンライン開催に変更になったため、開催地への旅費の支出がなかった。また、インタビュー調査を行うことができなかったため、分析に要する経費を必要としなかった。 令和5年度は、令和4年度に実施困難となったインタビュー調査の遂行を最優先し、音声データのテキスト化等の分析費用に充てる。研究動向の情報収集や研究成果発表のための学会参加費、出張旅費、研究成果の発表にかかわる論文翻訳費・論文投稿料など、適切な支出とともに研究活動を進めていく。
|