2021 Fiscal Year Research-status Report
喉頭摘出術後の無喉頭者の嗅覚リハビリテーション効果について
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21K17363
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
村上 健 北里大学, 医療衛生学部, 講師 (90781906)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 喉頭摘出者 / 嗅覚障害 / リハビリテーション |
Outline of Annual Research Achievements |
喉頭癌などにより喉頭を摘出した喉頭摘出者(以下,喉摘者)は,声を失うこと以外に,嗅覚障害を伴いQOLが低下することは広く知られている.本邦において,喉摘者の嗅覚障害に対するリハビリテーション(嗅覚リハ)は普及していないのが現状である.喉摘者の嗅覚障害に対して新しい嗅覚リハを導入し,嗅覚における認知能力を高めることが出来るかを検証することが目的である.従来喉摘者の嗅覚リハとして用いられているNAIM法だけでは検知能力(においの有無がわかる能力)の改善は見込めても,認知能力 (においを特定する能力)の改善が乏しく,喉摘者の嗅覚障害の問題を解決することはできない.これまで喉摘者に対して,認知能力を高める嗅覚リハの報告は少なく,方法も確立されていない.本研究により,認知能力を高める嗅覚リハの成果が得られれば,喉摘者のQOLのさらなる向上が見込まれる. 本研究は,無喉頭者に対して,今回我々の開発した嗅覚リハビリテーション器機(りすめる)を使用した嗅覚のリハビリテーションを行うとともに,におい分子である嗅素を用いたリハビリテーションを併用することで,嗅覚機能の改善があるかを判定することを目的とする. 本研究を実施するにあたって,2021年度は主に文献等資料の収集,関係者との協議・相談,研究環境調整,倫理審査申請書の作成等を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度は研究の実施に当たって、その研究計画の策定・研究準備を中心に行った。 主に①研究手続き・流れに関して関係部署内での調整、話合い、②倫理審査申請書の作成、に多くを費やした。 また新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け,研究協力いただく予定である喉摘者団体の銀鈴会が休止中であり,研究開始の目途が立たなかったため、計画通りに研究が進まなかったが、感染対策に留意し、倫理審査の承認後には速やかに研究を推進することが可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度北里大学倫理委員会に倫理審査承認後に①対象者のリクルート,②対象者に関する基本情報の収集,③リハビリテーション前後の検査データの収集などを行いデータの解析を行う.以下の条件で研究を進めていく. 条件1: 嗅覚リハ器機を使用したNAIM法リハビリを3か月間実施後,嗅素を用いたリハビリテーションを加えて3カ月間実施する. 条件2:嗅覚リハ器機を使用したNAIM法リハビリと嗅素を用いたリハビリテーションを6 か月間実地する. 従来行われている嗅覚リハビリテーションであるNAIM法と嗅素を用いるリハビリテーション(記憶とにおいを結び付けるリハビリ)を1 日2 回朝晩10 秒程度嗅ぐ.その際は,においの有無の判断とにおいの特定を行う.その後に何のにおいかを確認し,もう一度においを嗅いでもらい,記憶と嗅素の結びつきを強化する. 嗅覚評価については,嗅覚における検知能力(においの有無が分かる能力)および認識能力(何のにおいかわかる能力)を評価し,時期は,嗅覚リハの開始前,開始後1・3・6・12 か月後まで測定する.
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Causes of Carryover |
嗅覚器機を購入予定であったが、新型コロナウイルス感染拡大のため研究が遂行できなかったため、嗅覚リハビリテーション器機購入を来年度に変更したため、9,633円が次年度繰越となった。 次年度に嗅覚リハビリテーション器機を必要数購入し、計画通りに次年度使用額を使用する予定である。
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