2023 Fiscal Year Research-status Report
喉頭摘出術後の無喉頭者の嗅覚リハビリテーション効果について
Project/Area Number |
21K17363
|
Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
村上 健 北里大学, 医療衛生学部, 講師 (90781906)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 喉頭摘出者 / 嗅覚障害 / 嗅覚リハビリテーション / NAIM / リハビリテーション効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
喉頭がんなどにより喉頭を摘出した喉頭摘出者は、声を失うこと以外に、嗅覚障害を伴いQOLが低下することは広く知られている。本邦において、喉摘者の嗅覚障害に対するリハビリテーション(以下、嗅覚リハ)は普及していないのが現状である。喉頭摘出者の嗅覚障害に対して新しい嗅覚リハを導入し、嗅覚における認知能力を高めることができるかを検証することが目的である。従来、喉頭摘出者の嗅覚リハとして用いられてきたNAIM(nasal airflow-inducing maneuver)だけでは検知能力(においの有無がわかる能力)の改善は見込めても、認知能力(においを特定する能力)の改善が乏しく、喉頭摘出者の問題を解決することができない。これまで喉頭摘出者に対して、認知能力を高める嗅覚リハの報告は少なく、方法も確立されていない。本研究により、認知能力を高める嗅覚リハの成果が得られれば、喉頭摘出者のQOLのさらなる向上が見込まれる。 本研究は、喉頭摘出者に対して、今回我々の開発した嗅覚リハビリテーション機器(りすめる)を使用した嗅覚リハを行うとともに、におい分子である嗅素を用いたリハビリテーションを併用することで、嗅覚機能の改善があるかを判定することを目的とする。 本研究を実施するにあたって、2023年度は新型コロナウイルスが落ち着き、被験者である喉頭摘出者団体の活動が再開したため、具体的に喉頭摘出者に対し新しい嗅覚リハ介入を開始した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルスの影響により、2023年度は研究協力者である喉頭摘出者団体(患者会)の活動が休止状態であった。2024年の3月より活動が再会したため、研究手続きの開始が1年遅れてしまった。 しかし、一年間研究期間を延長したため、新しい嗅覚リハ介入後の1・3・6ヶ月後まで経過を追うことができ、研究成果を明らかにすることが可能である。
|
Strategy for Future Research Activity |
2023年度に加えて必要最低限の研究成果を得るために、研究期間を延長した。 2024年度は、2024年3月より①対象者のリクルート、②対象者に関する基本情報の収集、③リハビリテーション前後の検査データの収集し、データの解析を行う。 1)嗅覚リハビリテーション機器を使用しNAIMを毎日3回嗅覚リハビリテーションを実施。 2)NAIM練習後に嗅素を用いたリハビリテーション(記憶とにおいを結びつけるリハビリテーション)を1日3回(食前に)実施する。その際はにおいの有無の判断とにおいの特定をする。その後に何のにおいかを確認し、もう一度においを嗅いでもらい、記憶と嗅素の結びつきを強化する。嗅覚評価については、嗅覚における検知能力(においの有無がわかる能力)と認知能力(何のにおいかわかる能力)を評価し、時期は嗅覚リハビリテーションの開始前、開始後1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月まで測定する。 現在は、2024年3月より喉頭摘出者を対象とした介入研究を開始しており、 新しい嗅覚リハビリテーションを介入後1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月までデータ収集を実施予定である。
|
Causes of Carryover |
①嗅覚リハビリテーション後の嗅覚における検知能力および認知能力を評価するための検査キットを購入予定であったが、2023年度に新型コロナウィルスの影響で計画通りに進まず、検査キッドの消費期限を考え購入を見送ったため。②研究成果の報告目的に参加予定であった学術講演会に参加できなかったため、繰り越しが生じた。 次年度は嗅覚リハビリテーション介入が開始され、計画通りに使用する予定である。
|