医療保健従事者のための簡易的な夫婦関係評価とその夫婦への支援の教育プログラム開発

2021 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 21K17395
• Research Institution: University of Tsukuba
• Principal Investigator: 金澤 悠喜 筑波大学, 医学医療系, 助教 (80812833)
• Project Period (FY): 2021-04-01 – 2025-03-31
• Keywords: 夫婦 / 育児期 / 公正感受性 / 尺度開発

Outline of Annual Research Achievements

昨今の育児環境を改善するための社会政策として、父親の育児促進や地域包括支援の取り組みなど打ち出されているが、母親の産後うつ病が増加傾向であり、離婚率も減少せず、社会政策の努力が報われていない。夫婦を取り巻く社会資源の環境を整えるだけでなく、夫婦に直接介入し、内部から整えていく必要がある。これまで、第1子誕生直後の夫婦関係の変化を調査してきた。その調査により、子どもの誕生後の夫婦は互いに育児や家事、仕事が衡平であるかで互いを認識する特性があることが分かった。そこで、夫婦の衡平の感じ方に着目し、夫婦を内側から整えていける方法を提案した。そもそも、子どもが誕生後の夫婦は、子育てに追われ自ら夫婦関係を良好にするために努力するゆとりがない状態である。したがって、本研究では、乳幼児のいる夫婦に密接に関わる助産師や保健師の医療保健従事者が、関わる夫婦の関係が衡平であるかを短時間で評価できるスキルを身に着け、衡平でないと判断した夫婦に支援できるための教育プログラムを開発することを最終目標としている。そのため、医療保健従事者が夫婦の衡平の感じ方のバランスが崩れているかどうか、またその度合いを評価し、評価に沿ってアドバイスなどの支援ができる人材を育成するための①夫婦の評価方法と②育成プログラムの2点の開発を行うことを目的とする。
2021年度は、①夫婦の評価方法の開発を実施した。研究者オリジナルの評価方法の開発を実施予定であったが、社会学領域の研究者による公正感受性尺度日本語版（JSI-J）（ターン他，2019）の一部を用いて、改正した夫婦間における公正感受性尺度の信頼性と妥当性の検証を行った。対象は、生後1ヵ月～3歳の第1子のいるパートナーと同居している方にアンケート調査を実施した。現在（2022年5月）、分析中であり、今後査読ありの論文投稿を予定している。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

2021年度予定していた夫婦間の評価方法を公表し、教育プログラムの企画までの予定であったが、夫婦間の評価方法を公表さえ行えていないため、やや遅れている。

Strategy for Future Research Activity

2022年度は、①夫婦の評価方法の開発の夫婦間における公正感受性尺度の信頼性と妥当性の検証に関する査読ありの論文投稿を実施する。並行して、医療保健従事者が夫婦の衡平の感じ方のバランスが崩れているかどうか、またその度合いを評価し、評価に沿ってアドバイスなどの支援ができる人材を育成するための②育成プログラムを行う予定である。助産師および保健師を対象とし、プログラムのプレ実施および評価を行う。

Causes of Carryover

2021年度は、教育プログラムの企画まで進める予定であったが、進捗がやや遅れており、教育プログラムの企画で使用する予定であった旅費および人件費・謝金の一部を次年度に使用することに至った。