2021 Fiscal Year Research-status Report
Utilization and effectiveness of Information and Communication Technology (ICT) for nursing home residents and their families under the pandemic of coronavirus disease 2019 (COVID-19)
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21K17423
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
龍野 洋慶 神戸大学, 保健学研究科, 講師 (70782134)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 高齢者施設入所者 / 家族介護者 / ICT / COVID-19 / ポジティブ感情 / Well-being / 抑うつ |
Outline of Annual Research Achievements |
COVID-19の流行下でInformation and Communication Technology(以下、ICT)を用いて家族介護者との遠隔による面会の再開を検討している認知症対応型クループホーム1施設に2021年6月に調査協力を依頼した。既に施設において遠隔での家族介護者とのつながりの構築のためにICTの導入が検討されており、本科研課題を申請するにあたって本調査を実施する環境は整っていた。研究計画に立案した調査内容を質問項目として調査票を作成し、協力施設の所在する自治体の緊急事態宣言が解除されるまでの7月末までに研究代表者が所属する大学院における倫理審査の承認を得た。緊急事態宣言解除後の2022年7月末から研究協力施設において研究対象者を選定したのち、感染対策を徹底したうえで高齢者施設入所者とその家族介護者の双方へ調査票を用いて調査を開始した。さらにICTを活用した入所者と家族のつながりを構築し効果を検証するため、ICTを活用したつながりのあった日となかった日がそれぞれ7日間以上になるまで毎日のデータ収集を行った。2022年3月末までに6組12人の量的データ、6組12人とスタッフ6人への質的インタビュー調査を、緊急事態宣言や施設の面会制限期間を除く期間に感染対策を徹底したうえで実施した。COVID-19の流行の影響はあり、量的データの収集に時間を要しているが、2021年度中に調査できた質的データはデータセットの作成を年度内に完成することができ、2022年度はじめには分析、国内外の学会発表及び論文の投稿を計画できる段階まで進めることができた。量的データは2022年度もデータを収集し、ICTの活用前後の効果の比較を量的にも質的にも分析できるよう調査が進行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本科研課題を申請するにあたって既に協力予定であった高齢者施設(認知症対応型クループホーム1施設)において遠隔での家族介護者とのつながりの構築のためのICTの導入が検討されており、本調査を実施する環境は整っていた。協力施設の所在する自治体において緊急事態宣言下の期間は調査用紙の作成、解除されるまでの7月末までに研究代表者が所属する大学院における倫理審査の承認を得ることができたこと、緊急事態宣言解除後の2022年7月末から研究協力施設において研究対象者を選定したのち、感染対策を徹底したうえで高齢者施設入所者とその家族介護者の双方へ調査票を用いて調査を開始できたことから、おおむね順調に研究計画が進展したと考える。ただし、COVID-19の流行により2021年6月に調査協力を依頼した特別養護老人ホーム1施設からは研究協力の承諾を得ることが困難であったことから、今後は他の高齢者施設での研究協力を検討する必要があり、2022年2月から他の特別養護老人ホーム1施設とサービス付き高齢者向け住宅1施設に研究の依頼と説明、研究協力の同意を得ている。2021年度は調査の開始、継続とともに新規の調査先を確保することで2022年度の調査が順調に進展するよう準備を整えたことから、当初の予定通りおおむね順調に進展しているものと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
COVID-19の流行により2021年6月に調査協力を依頼した特別養護老人ホーム1施設からは研究協力の承諾を得ることが困難であったことから、2021年度は当初予定していなかった他の高齢者施設での研究協力を検討する必要が生じたことから、COVID-19の流行の状況によっては引き続き調査協力施設の選定の必要性が生じるかもしれない。2022年度にむけて特別養護老人ホーム1施設とサービス付き高齢者向け住宅1施設の研究協力の承諾を得ることができたことから、感染対策を徹底し、量的データを当初の予定数である50組100人の調査を行っていく必要がある。変化の個人内変動及び変化の個人間差要因を分析するために、ICT機器を用いた介入期間が、ICTを活用したつながりのあった日となかった日がそれぞれ7日間以上となるよう調査をしていることから、1組あたりの調査期間が1か月前後になっていることを踏まえ、ICT機器を追加するなどより円滑に調査が進むように留意する必要がある。 質的データは2021年3月末時点で、高齢者施設入所者とその家族の計6組12人と高齢者施設スタッフ6人のインタビューを実施し、2021年度中に逐語録、データセットの作成が完了している。2022年度はじめにはその分析を進め、2022年度内には国内外の学会によける成果発表、学術誌への投稿が可能と見込まれる。インタビュー調査は引き続き継続する予定であるが質的飽和をもって質的研究の成果発表を早々に行えると考える。
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Causes of Carryover |
本研究調査を2021年度のCOVID-19の流行が落ち着いた(緊急事態宣言が解除された)時期に集中的に実施し、量的データと質的データの入力、分析のためのデータセットを作成するのに当初予定した以上に当該年度所要額が調査員の雇用、ICT機器などの物品の整備に必要となったことから2021年度は繰り越し申請を行った。ただし、2022年3月までの間にCOVID-19の流行が昨年度以上となったことから感染対策上、調査日程を減らすなどの対応も生じたため、最終的には当該年度所要額は当初の予算案以上とはなったが、次年度使用額が生じた。この次年度使用額は2022年4月早々にデータセット作成や緊急事態宣言が解除された期間に調査を集中的に実施することから差引額である次年度使用額は2022年度に必要な予算である。
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