2022 Fiscal Year Research-status Report
認知症介護者のメンタルヘルスに影響するソーシャルキャピタルの解明と介入モデル開発
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21K17431
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Research Institution | Kansai University of Nursing and Health |
Principal Investigator |
古川 秀敏 関西看護医療大学, 看護学部, 教授 (10316177)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 認知症 / 家族介護者 / 抑うつ / ソーシャルキャピタル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、認知症をもつ人の家族介護者のメンタルヘルス、とりわけ、抑うつに対するソーシャルキャピタルの関連を明らかにすることにある。令和4年4月より470か所の地域包括支援センター、470か所の社会福祉協議会、470か所の訪問看護ステーションに協力依頼文書を送付し、43か所の施設からから研究協力の同意が得られた。364部の質問票が研究協力に同意した施設に郵送され、施設のスタッフによって認知症をもつ方の家族介護者に配布された。家族介護者からは147部が返送された。返送された質問票のうち、欠損値のない96部の質問票を分析対象とし、統計的に分析を行った。その結果、他の認知症をもつ人の家族介護者における研究よりも、本研究の対象者は抑うつ症状を示すCES-D(Center for Epidemiologic Studies Depression Scale)の値が高い傾向であった。さらに、認知症をもつ人の家族介護者の年齢、性別、学歴、認知症をもつ人の要介護度をコントロールした上でのロジスティック回帰分析の結果は、ソーシャルキャピタルのみがCES-D値にネガティブに関連していることを示していた。また、認知症をもつ人の家族介護者の年齢、性別、学歴、認知症をもつ人の要介護度など、認知症をもつ人や家族介護者の属性といったものが介護者の抑うつに影響すると推測されたが、本研究では有意な関連は認められなかった。現在、これらの結果を海外誌に投稿するために、論文作成し英文校正業者に論文の校正を依頼しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和4月からデータ収集を始めたが、新型コロナウイル感染症蔓延の第7波、8波にあたり、データ収集のための協力が得られにくかった。当初、分析対象数を2,000として始めたが、令和5年3月までに43か所の施設からから研究協力の同意が得られ、364部の質問票が研究協力に同意した施設に郵送され、施設のスタッフによって認知症をもつ方の家族介護者に配布され、結果、家族介護者からは147部が返送されただけであった。したがって、新型コロナウイルス感染症が5類冠せしょうとなった今でも、さらなる新種株の蔓延の可能性も鑑み、郵送法とは異なるデータ収集方法を模索する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の調査において返送された質問票が少なかったことから、研究計画書に記載したサンプルサイズを達成すべく、郵送による調査からWeb調査に変更を考えている。現在、Web調査会社に見積等を相談しているところである。さらにWeb調査への変更のために、本学の研究倫理審査委員会に諮る書類の作成を進めているところである。
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Causes of Carryover |
研究計画に従い、2,000部の質問票の回収を読恵地していた。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の第7、8波を含む期間にデータ収集のための研究協力依頼を行ったため、1,410施設のうち、わずか43施設からしか協力の同意が得られなかった。そのために質問票の送付に使用する予定であった郵送費が使用されず、次年度使用額が生じた。研究計画のサンプルサイズできるだけ近づけられるよう、郵送法からWeb調査への変更を考えている。
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