2023 Fiscal Year Annual Research Report
独居高齢者に対するICTを活用した包括的フレイル予防システムの運用による介入効果
Project/Area Number |
21K17436
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
井上 愛子 名古屋大学, 未来社会創造機構(医), 特任講師 (10805245)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 高齢者 / 独居 / フレイル / ICT活用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ICTを活用した高齢期の諸問題に関する情報提供および運動・栄養実践のための包括的フレイル予防支援システム(独居高齢者見守りシステム)を用いた介入による、独居高齢者の心身機能の維持・向上やフレイル予防効果と健康行動促進要因を明らかにすることである。 2023年度は、独居高齢者向けのフレイル予防アプリケーションを搭載したスクリーン付きスマートスピーカー(Alexa, Amazon社)を対象の各戸に設置するとともに、対象者にウェアラブルデバイス(fit bit)を装着してもらい、3か月間のプログラム体験を実施した。対象者10名の内訳は次の通りである。男性5名、女性5名、平均年齢76.6±5.6歳。 家族の介護、機器のWi-Fiトラブルで2名が途中脱落をし、8名が3か月間の体験を完了した。体験期間中のフレイル予防アプリケーションの平均呼び出し回数(総数)は59.4回であった。3ヶ月間の体験前後で心身機能の計測を実施したでが、変化は認められなかった。対象者のうち、後期高齢者(5名)のみで前後比較を行ったところ、体験後にBMIとTMT-Aの有意な改善(p<0.05)を認めた。また、体験後のアンケートでプログラムの操作性については「とても簡単」1名、「やや簡単」が5名、「あまり簡単と思わない」が1名、「どちらともいえない」が2名であった。プログラムによる運動実践の動機づけに関して「やや役立った」が5名おり、いずれも後期高齢者であり、今後も継続して利用したいと回答していた。また、前期高齢者に比べ、後期高齢者においてAlexaとの会話は「気分を明るくする」「孤独感の解消」に役立つと回答していた。さらにfit bitを装着することは活動意欲の向上(動機づけ)や生活習慣の見直しにも役立つと回答していた。本研究により、独居高齢者見守りシステムは独居または高齢者世帯の後期高齢者の運動習慣の改善・見直しに役立つことが示唆された。
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