2022 Fiscal Year Research-status Report
視覚変位状態での姿勢制御時の分配性注意機能の解明と半側空間無視への介入手段の考案
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21K17455
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Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
北谷 亮輔 新潟医療福祉大学, リハビリテーション学部, 助教 (70805811)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 空間性注意 / 分配性注意機能 / プリズム適応 / 姿勢制御 / リハビリテーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、脳卒中後に特異的に生じる高次脳機能障害の一つである半側空間無視に対する介入手段の確立へ向けた基礎的な検討として、健常者を対象にプリズム適応による無視様状態を引き起こした状態における姿勢制御時の分配性注意機能の特徴を検討することを目的としている。半側空間無視は左空間に対する注意機能が低下することが多く、基礎的な検討方法として健常者に対して視野が左に変位するプリズムレンズを用いて感覚運動適応を行うと、後効果として左半側空間無視のような症状が生じることが報告されている。今年度は、健常者を対象にして左プリズム適応による無視様状態における姿勢制御時の分配性注意機能を検討するため、空間性注意機能課題としてPosner課題を用いて、姿勢制御の難易度による左プリズム適応前後の空間性注意機能の変化を検討した。主な結果として、プリズム適応前では姿勢制御の難易度が高いと左右空間ともに外部刺激に対する反応時間は遅延するが、左プリズム適応後は右空間において姿勢制御の難易度による反応時間の遅延の影響は減少した一方、左空間における反応時間には有意な変化は得られなかった。 また、左プリズム適応による左半側空間無視様状態には姿勢制御への影響も報告されている。そのため、現在は左プリズム適応による姿勢制御への影響、および無視様状態における姿勢制御時の分配性注意機能に関与する脳部位を検討するため、非侵襲的脳刺激をプリズム適応に併用する測定を行い、随時解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度中に健常者を対象としてプリズム適応による無視様状態における姿勢制御時の分配性注意機能を検討する測定が終了し、主要な解析に関して概ね終了したため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、まずはプリズム適応による無視様状態における姿勢制御時の分配性注意機能の特徴を明らかにするために、追加解析および研究発表を行っていく。さらに、プリズム適応による姿勢制御への影響、および無視様状態における姿勢制御時の分配性注意機能に関与する脳部位を検討するため、非侵襲的脳刺激をプリズム適応に併用する測定を継続していく。
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Causes of Carryover |
昨年度からの繰越額を使用してプリズムレンズなどの測定機器を追加で購入したが、新型コロナウイルスの影響などにより予定していた旅費が削減され、繰越額により次年度使用額が予定より多く生じた。次年度は現在測定している非侵襲的脳刺激をプリズム適応に併用する測定を継続するために、測定機器の充実や測定環境の備品、消耗品費が必要となる。また、得られたデータ量の増加に伴い、新たに解析用のパソコンや解析ソフト、ハードウェアなどを導入することを検討している。得られた結果は随時取りまとめ、今後開催が予定されている学会発表に向けた抄録作成や演題登録を行い、論文執筆に向けて英文校正費用や論文投稿費が必要となる。
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