2023 Fiscal Year Annual Research Report
半側空間無視患者における主観的垂直感覚の視空間認知過程の解明
Project/Area Number |
21K17480
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
森 公彦 関西医科大学, リハビリテーション学部, 助教 (10890890)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 主観的垂直感覚 / 眼球運動 / 視線移動 / 半側空間無視 |
Outline of Annual Research Achievements |
急性期脳卒中患者のうち半側空間無視を伴う患者において、姿勢障害に影響を及ぼす垂直性知覚の障害について解析した。半側空間無視患者30名、半側空間無視のない患者40名、健常者33名を対象として、垂直方向を視覚的に判断する能力を計測する検査である主観的視覚性垂直(SVV)において、垂直なフレームを視覚的手がかりとして提示したときにSVVに及ぼす効果を解明した。その結果、半側空間無視患者に特徴的な無視がある側から開始する時のSVVの偏倚の大きさが減少し、その判断の変動性も減少していた。さらに、MRI、CTによる脳画像を用いて脳損傷領域のマッピングを行い、脳機能の障害の影響を追加で検証した。この成果は、第21回日本神経理学療法学会学術大会には発表し、論文を執筆し海外雑誌への投稿を進めた。 研究期間を通じて、垂直を判断するための視線パターンの解析データを行った。半側空間無視患者において、無視側だけでなく非無視側でもターゲットの特定の部位に視線が留まる傾向があり、視線移動の量や頻度が少なく、半側空間無視特有の症状がSVVにおいても一部認められた。このような症状の有無による視線パターン違いは、探索的眼球運動を司る脳領域の損傷の有無によっても特徴が明らかとなり、視線解析に基づく垂直判断の定量化に成功したことから、海外雑誌への投稿の査読を受けている。 視覚的手がかりがある時とない時の垂直判断の変調メカニズムや視線移動パターン解析に基づいた成果から、臨床的に有用な視線誘導法が提唱された。
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