2021 Fiscal Year Research-status Report
The effects of transcranial alternating current stimulation on neuropathic pain and resting electroencephalography after spinal cord injury.
Project/Area Number |
21K17482
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Research Institution | Kio University |
Principal Investigator |
佐藤 剛介 畿央大学, 健康科学部, 客員准教授 (70807007)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 経頭蓋交流電気刺激 / 神経障害性疼痛 / 脊髄損傷 / 疼痛閾値 / 脳波 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,経頭蓋交流電気刺激(Transcranial alternating current stimulation: tACS)により,脳波における特定の周波数帯域の振幅を増大させ,リズムの変調をすることで脊髄損傷後の神経障害性疼痛の軽減を図れるかを心理学的・行動学的データを用いて検討することを目的としている. 今年度は,健常者を対象としてtACSによる脳刺激によって,予備的に安静時脳波活動と熱痛閾値の変化を検証してきた.具体的には,健常成人3名を対象に,安静時脳波活動を測定し,疼痛感受性の指標であるPeak alpha frequency(PAF)を算出した.そのPAFを基準に,tACSを用いて刺激周波数帯域を0.6Hz増減させた2条件と偽刺激を合わせた合計3条件を設定して行った.電極は,一次体性感覚野に相当する部位に設定し,波形は正弦波、刺激時間は20分,刺激強度は1mAで行った.疼痛閾値は,熱刺激装置を使用して左手背部にプローブを貼付し,tACSの刺激前後で実施した. 結果は,tACSによるPAFの有意な変化は得られず,疼痛閾値についても一貫した変化は得られなかった.今回の結果からは,tACSによる脳活動を修飾するために必要な刺激パラメーターの再検討が必要であることが示された.特に安静時脳波は、個人差が大きく、個々の実験参加者に合わせた詳細な刺激パラメーターの調整が必要であることが示された.また,今回の予備実験の中では,tACSによる電極貼付部の皮膚トラブル等の有害事象は認められず,tACS使用に伴う安全性を確認することができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の今年度の予定は,健常者を対象にサーマルグリルイリュージョン(TGI)を使った神経障害性疼痛と類似した疼痛を誘発し,TGI刺激に対する経頭蓋交流電気刺激による鎮痛効果を検証する予定をしていた.しかし,TGI機材の準備が整わず実験スケジュールの進行が遅れた.そのため,予備的に熱痛刺激による検証に留まっている状況である.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては,TGI機材の準備が整った後,健常者を対象とした検証を行っていく予定である.令和3年度の成果では,予備実験の中で経頭蓋交流電気刺激による安静時脳波活動の修飾に必要な刺激パラメータについて,再検討する必要が出てきた.具体的には,刺激周波数,刺激強度,刺激時間を中心に再検討を加え,検証を行っていく予定である.また,健常者での一貫した成果が確認できた後に,神経障害性疼痛を有する脊髄損傷者を対象に検証を行っていく予定である.
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Causes of Carryover |
データ収録・解析用のPC,統計解析ソフトを購入し実験を行っていく予定である.その際の実験参加者に対する謝金として使用する予定をしている. 健常者での検証を終えた段階では,臨床データを測定できるよう,脳波計を購入する予定をしている.また、得られた研究成果について国内学会での公表,論文作成に必要な英文校閲に使用する予定をしている.
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