2022 Fiscal Year Research-status Report
嚥下障害のメカニズム解明と治療法開発: 運動失調症モデルマウスを用いた検討
Project/Area Number |
21K17487
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
矢島 健大 東北大学, 歯学研究科, 助教 (40779550)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 嚥下障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、現代の超高齢社会において重要な課題である嚥下機能の改善に着目している。嚥下運動には末梢からの感覚情報と、口腔・咽頭・喉頭の筋の運動情報が関与し、これらは大脳や脳幹部において調整される。運動障害性疾患では、これらの異常に伴い摂食嚥下が困難となる。本疾患の一つである運動失調症でも嚥下障害が生じることが知られており、そのモデルマウスであるジストニンノックアウトマウスを用いた、嚥下障害のメカニズム解明を目的としている。本研究により、運動失調症のみならず、加齢などによる筋力低下や筋緊張能調和による嚥下障害のメカニズム解明と予防・治療にまで発展できると考える。 本年度は、初年度に得られたデータに基づき詳細な解析を実施した。口腔・咽頭・喉頭の各種組織切片を用いた免疫染色から得られたデータにより、ジストニンノックアウトマウスではワイルドタイプマウスと比較した際に、組織によって末梢神経の分布密度が異なることが示唆された。唾液腺については、ジストニンノックアウトマウスの耳下腺の腺房では、ワイルドタイプマウスと比較して神経線維の分布密度が低かった。一方、顎下腺の腺房においては、両者での差は認められなかった。また、各種口腔咽頭粘膜に分布する神経線維も、ジストニンノックアウトマウスではワイルドタイプマウスよりもその分布密度が低い傾向にあった。一方、皮膚においてはその差は小さいと考えられた。今後は本データに基づき、より詳細な解析と、イオンチャネルを中心とした組織学的な解析と、トレーサーを用いた実験、ならびに各種アゴニストを用いた検討を実施予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、ジストニンノックアウトマウスとワイルドタイプマウスに関して、免疫組織学的な解析を実施した。今後はより詳細な解析と、当初実験1に含まれていたトレーサー実験を行うため、予定よりもやや進捗は遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでに対象とする候補物質や対象部位の選定をすすめてきた。これらの結果に基づき、次年度においてはより詳細な分析とトレーサー実験をはじめに実施予定である。
|
Causes of Carryover |
一部の抗体や試薬において、欠品等の影響により年度内に購入することが出来なかった。また、研究成果の発表を予定していた学会への参加を、社会情勢を加味して取りやめた。次年度において、消耗品の購入や旅費として使用予定である。
|