2022 Fiscal Year Research-status Report
肺癌術後患者における術後呼吸筋機能障害に着目した新たなアプローチの検討
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21K17493
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
及川 真人 長崎大学, 病院(医学系), 技術職員 (80646109)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 肺癌 / リハビリテーション / 理学療法 / 呼吸筋力 |
Outline of Annual Research Achievements |
肺癌手術は,全身麻酔や胸壁に対する手術侵襲を契機に,術後に有意な吸気筋力の機能障害が生じる可能性がある.本研究では,肺癌手術後患者の吸気筋力障害の発生状況を調査し,同患者群の特徴を明らかにするとともに,術後の運動耐容能との関連性を検討した。方法は,長崎大学病院呼吸器外科にて術前より理学療法が紹介された肺癌患者103例(年齢73.5歳,男性59例,Stage IA 68例,肺葉切除術 88例)を対象に,手術前日と術後1週の時点で吸気筋力[最大吸気口腔内圧(PI max)]と運動耐容能(6MWD)を評価した。術後PI maxが男性は60cmH2O,女性は40cmH2O未満を術後低吸気筋力群と定義し,対象者背景ほかの評価項目を両群間で比較検討した。結果は,術後のPI maxは,術前の値と比較して有意に低下し(63.5 vs. 50.3cmH2O, p<0.01),術後低吸気筋力群は58例(56%)であった。術後低吸気筋力群の患者背景は,術前の吸気筋力が低値であり(73.4 vs. 55.8cmH2O, p<0.01),年齢や性別,術式や切除肺容量には両群間で差を認めなかった。術後の6MWDについては,術後低吸気筋力群が非低下群よりも低値であった(458.4±77.0 vs. 427.3±87.0 m, p=0.06)。肺癌手術は,術後に吸気筋力の障害が生じやすく,吸気筋力の障害は術後の運動耐容能に関連する可能性が示された。本研究の結果は,これら患者群における術後の呼吸筋力評価の必要性を示すとともに,肺癌術後患者においても低吸気筋力群は運動耐容能が有意に低いことから,術後の呼吸筋トレーニングの適用対象となる可能性が示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
呼吸筋力の評価は,被検者が紙マスクを外した状態で強く吸気および呼気を行う検査である。そのため,新型コロナウィルス感染症の感染拡大時期には,評価の実施を控えるべきであることが示された。この検査特性と感染拡大の影響を受けて,研究の導入時点より呼吸筋力の評価自体が制限され,現在に至るまでその影響が続いているために研究の計画が遅延している。
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Strategy for Future Research Activity |
肺癌術後患者の術後呼吸筋障害については,これまでの調査によって概ね明らかにされた。そのため,次年度以降は,術後の呼吸筋障害が有意な患者群に対して,呼吸筋トレーニングを導入し,その効果検証を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
研究プロジェクトの遅延により,本年度開始を予定した介入研究(呼吸筋トレーニング)の導入に至らなかった。そのため,介入研究に使用する呼吸筋トレーニングの器具を購入しなかったために計上した予算を使用せず,次年度に使用額が生じた。次年度はこの予算を使用して,呼吸筋力のためのトレーニング器具を対象症例数購入し,介入研究を開始,進展を図る。
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